パラスポーツ最高峰を目指す姿を追いかける最前線レポート--Next Stage--企画・取材:MA SPORTS

<<一覧に戻る

2024年12月23日

ゴールボール 金子和也選手

パリで金、重責全う「選手としても人間としても成長できた」


パリ2024大会でチームの柱として活躍した金子

今夏のパリ2024パラリンピック競技大会(以下、パリ2024大会)でゴールボール男子日本代表が史上初の金メダルを獲得した。チームの攻撃の要であり、個性豊かな選手をひとつにまとめたのがキャプテンを務めた金子和也(Sky株式会社)だ。

パリ2024大会の予選リーグで日本代表は強豪の中国とウクライナに敗れ、エジプトに勝利して1勝2敗のグループ3位で決勝トーナメントに進出。準々決勝でアメリカに逆転勝ちをおさめると、準決勝では再び対戦した中国に13-5と大差をつけて下し、リベンジに成功。そして決勝では、やはり予選で敗れたウクライナを延長戦の末に退け、栄冠を掴んだ。金子は「選手一人ひとりが、負けから収穫と課題を整理して臨んだことが結果につながった。男子は長い間結果を出せなかったが、先輩方がチームを守り続けてくれたからこそ頂点に立てた。仲間、コーチ、家族、みんなで獲れた金メダルだと思う」と振り返る。

選手による投票でキャプテンに選ばれた。自身も「チームを引っ張る経験をしたい」と立候補したが、「自分を推薦してくれた先輩がいて身が引き締まる思いだった」と金子。各々が何を大事にしているのか、どうすればベストパフォーマンスが出せるのか、普段の生活や試合前の一人ひとりの動きを注意深く観察。確認したいことがあれば都度ミーティングを開き、対話することを重視した。パラリンピックに出場した6人で海外遠征をしたのはパリ2024大会本番が2回目だったが、チームは「ひとつ」に仕上がった。

プレー面での進化も大きかった。金子自身は左利きで、ボールの回転が逆になるため相手にとってはやりにくさがある。ゴールボールを始めた当初はライトも経験したが、もともとはレフトポジションだ。そこから、2022 IBSAゴールボール アジアパシフィック選手権大会でチーム状況に合わせて急遽ライトで出場したところ可能性を見いだされ、両ウイングのプレーを磨いた。それがチームのオフェンス面の大きな武器となり、「レフト・宮食行次(株式会社コロプラ)」と「ライト・金子」によるコラボレーションがパリ2024大会でも実現。金メダルへの道標となった。

「選手としても、人間としても、成長につながる経験だった。次の目標は、ロサンゼルスでのLA2028大会で連覇をすること。パリ2024大会を観てゴールボールをやりたいという人も出てきているし、すでに代表レベルの若手選手もいる。目標達成のためには世代交代が必須。自分たちも若手には負けないという気持ちで世界に挑み、良いサイクルを作っていきたい」

重責を全うしたキャプテンの視線は、すでに次のステージに向いている。

(MA SPORTS)