パラスポーツ最高峰を目指す姿を追いかける最前線レポート--Next Stage--企画・取材:MA SPORTS

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2022年8月30日

東京2020パラリンピック1周年記念イベント

東京パラから1周年! 有明アリーナに9,200人が来場

東京2020パラリンピック開幕から1年となった24日、大会会場のひとつだった有明アリーナで、記念セレモニーと車いすバスケットボールのエキシビションマッチが開催された。イベントは2部制で、あわせて約9,200人が訪れ、会場を盛り上げた。また、都立八王子東特別支援学校でVRシアターを放映し、府中市郷土の森博物館プラネタリウムではライブビューイングが実施された。

車いすバスケットボールのエキシビションマッチは大いに盛り上がった

万雷の拍手に「1年越しに見たかった光景」

新型コロナウイルス感染症の影響で1年前は無観客だった有明アリーナが熱気に包まれた。車いすバスケットボールのエキシビションマッチでは、車いす同士が激しくぶつかり合い、シュートが決まるたび、観客から大きな拍手と手拍子が送られた。観戦していた小学生は、「すごい! 自分もやってみたい」と目を輝かせていた。

選手もまた、有観客の中でプレーする喜びを全身で感じていた。女子日本代表はスペイン代表に47-60で敗れたが、日本代表キャプテンの北田千尋は「1年越しに見たかった光景。気持ちよくプレーができた」とコメント。スペイン代表のサラ・レブエルタも「こうした形で日本に帰って来られて嬉しい」と、笑顔を見せた。

男子は日本代表同士によるドリームマッチが実現。TEAM BLACKが62-56でTEAM WHITEに勝利した。東京2020パラリンピックで史上初の銀メダルを獲得した反響は大きく、「連盟に競技をやりたいという声が届いている」と、京谷和幸ヘッドコーチ。また、鳥海連志は「個人でも大会を主催するなどして、車いすバスケットボールをより身近に感じてもらえる取り組みがしたい」と、レガシーの継承に思いを馳せていた。

記念セレモニーに参加した小池都知事、パーソンズIPC会長ら

豪華ゲストらがパラスポーツの魅力をアピール

第1部の冒頭では、元日本代表の根木慎二さんとユーチューバーのフィッシャーズらが、実際に競技用車いすに乗って、車いすバスケットボールを紹介。続いて、全国高等学校総合文化祭東京大会「とうきょう総文2022」の出場生徒が、手話を交えながら『きみへつなぐ』を合唱し、開演を告げた。パラ応援大使のLittle Glee Monsterも応援に駆け付けた。第2部のオープニングは、東京2020大会の開会式で主人公「片翼の小さな飛行機」役を演じた和合由依さんとダンサーらがパフォーマンスを披露した。

記念セレモニーには、小池百合子東京都知事と森和之日本パラリンピック委員会(JPC)会長、橋本聖子元東京2020組織委員会会長、アンドリュー・パーソンズ国際パラリンピック委員会(IPC)会長が出席した。また、IPC特別親善大使を務める「新しい地図」の稲垣吾郎さん、草彅剛さん、香取慎吾さんがスペシャルゲストとして登場。水泳で100m自由形(S4)の金メダルを含む5つのメダルを獲得した鈴木孝幸、東京2020パラリンピックで初採用となったパラバドミントンの車いす女子ダブルスで優勝した山崎悠麻らとともに、パラスポーツの魅力を伝えた。

「パラリンピック・ムーブメントのさらなる推進を目指す」と森JPC会長

パラスポーツの発展と共生社会の実現に向けて

JPCは東京2020パラリンピックの開会式1年前に、8月24日を「ジャパンパラリンピックデー」という記念日に定め、大会開催のレガシーを継承し、発展させていくことを宣言した。そして、1回目のジャパンパラリンピックデーを迎えたこの日、森JPC会長は「多くの人の理解・協力と尽力により、大会開催できたことに改めて感謝の気持ちを申し上げたい」と述べた。

また、東京2020パラリンピック開催を契機にパラスポーツが広がった背景のひとつに、IPC公認の教材「I’mPOSSIBLE」を使ったパラリンピック教育活動の存在がある。JPCが日本財団パラスポーツサポートセンターと共同開発したもので、全国の教育現場に無料配布され、座学と実践を通じて子どもたちが多様性を認める考え方を学び、共生社会への理解を深めた。9月5日には、教材のひとつである「東京2020パラリンピック競技大会のレガシーについて考えてみよう!」の中学・高校生版の改訂版を発表する予定で、森JPC会長は「パラリンピック・ムーブメントを維持・拡大するべく、さまざまな取り組みを行っていく」と語った。

(MA SPORTS)