パラスポーツ最高峰を目指す姿を追いかける最前線レポート--Next Stage--企画・取材:MA SPORTS

<<一覧に戻る

2023年6月16日

全仏オープンテニス2023

17歳・小田凱人が史上最年少優勝!

テニスの四大大会のひとつ「全仏オープン」が、フランス・パリのスタッド・ローラン・ギャロスで開かれた。車いすの部は6月6日から5日間にわたり、男子・女子・クアードのシングルスとダブルスが行われた。日本からは計9人が出場し、男子シングルスでは17歳の小田凱人(東海理化)が最年少優勝を果たし、女子の上地結衣(三井住友銀行)はシングルス準優勝、ダブルス優勝の成績をおさめた。

全仏オープンを初制覇し、表彰式で笑顔を見せる小田

【男子】決勝で小田がヒューエットを撃破

男子シングルスのドローは「16」。昨年の全仏オープンでグランドスラムデビューを果たした小田は、一年を経て世界ランキング2位まで浮上。今大会は1回戦で荒井大輔(BNPパリバ)に6-1、6-4で勝利すると、準々決勝はオランダ人選手をフルセットで、準決勝はスペイン人選手をストレートで下し、決勝に進出した。

その決勝では、第1シードのアルフィー・ヒューエット(イギリス)と激突。これまでの戦績は小田の1勝6敗で、クレーコートでの対戦は今回が初だったが、小田は序盤から落ち着いてプレー。140キロを超えるサーブやライン際を狙う攻撃的なショットで主導権を握り、第1セットを6-1で先取すると、第2セットも展開の読みとチェアワークが冴え、6-4で粘る相手を振り切った。

17歳1カ月2日での優勝は最年少記録。大会後に更新された世界ランキングも史上最年少で1位に就いた。「この結果を求めてこれまでやってきた。本当に嬉しいし、最高の一日になった」と、笑顔を見せた小田。「自分がさらに車いすテニスを大きなスポーツにしていきたい」と、力強く語った。

9年ぶりに全仏オープンに出場した三木拓也(トヨタ自動車)は、初戦でステファン・ウデ(フランス)を破ってベスト8。荒井と組んだダブルスは初戦敗退だった。眞田卓(凸版印刷)は、シングルスは1回戦で敗れたが、ウデとペアを組んだダブルスでベスト4の成績をおさめた。小田もヨアキム・ジェラード(ベルギー)と組んだダブルスでベスト4だった。

【女子】上地はシングルスで準優勝、ダブルスは4度目V!

女子シングルスのドローは「16」。世界ランキング2位の上地は7年連続8度目の決勝進出を果たし、3年ぶりの優勝を目指したが、同1位のディーデ・デ フロート(オランダ)に2-6、0-6で敗れた。来年のパリ2024パラリンピックを見据えて3月に競技用車いすを新しくした上地。パラリンピックの会場にもなるローラン・ギャロスのクレーコートで、どこまでプレーできるかを確認する大会でもあった。

新しい車いすでさらなる高みに挑戦中の上地。来年のリベンジに期待したい

上地は「他の選手との試合では、自分の意図するプレーができていた。ディーデに対しては、主導権を握られると後ろで返すのが精いっぱいになってしまった。パリ2024パラリンピックで金メダルを獲得するために、車いすのセッティングも含めてどう変えるか考えていきたい」と話した。

なお、上地はホタッツォ・モンジャネ(南アフリカ)と組んだダブルスでは、決勝でデ フロート・マリア・フロレンシア・モレノ(アルゼンチン)組を6-2、6-3で下し、頂点に立った。上地は全仏オープンでのダブルス優勝は2017年大会以来4度目で、オンコートインタビューでは「(パートナーと)コート内外でよい関係を保てた。試合を楽しめた」と笑顔で挨拶した。

大谷桃子(かんぽ生命)は、シングルスは2020年大会以来の決勝進出はならず、ベスト4。イスカ・グリフェン(オランダ)と組んだダブルスは初戦で敗れた。また、全仏オープン初出場の田中愛美(長谷工コーポレーション)は、シングルスでは初戦敗退したが、朱珍珍(中国)とのダブルスでベスト4に入った。船水梓緒里(ヤフー)はシングルス・ダブルスともに1回戦で敗れた。

【クアード】ベスト4の菅野「戦い方次第で上へ行けると示せた」

クアードシングルスのドローは「8」。日本からは唯一、ワイルドカードで菅野浩二(リクルート)が出場した。菅野は1回戦でヒース・ダビッドソン(オーストラリア)に6-2、7-5で競り勝った。準決勝では世界ランク1位のニールス・フィンク(オランダ)にストレートで敗れたが、1回戦と同様にアンダーサーブを戦術的に取り入れ、ラリーに持ち込み相手のミスを誘う場面もあった。

3度目の全仏オープンで初勝利を挙げた菅野

菅野は「より攻略が難しいクレーコートでも、戦い方次第でベスト4まで行けると示せた。来年のパリ2024パラリンピックに向けてさらに強化を頑張っていきたい」と、言葉に力を込めた。また、デビッド・ワグナー(アメリカ)と組んだダブルスでは、わずかなポイント差で接戦を落として1回戦敗退だった。

なお、クアードシングルスは20歳のフィンクが大会2連覇を達成した。フィンクと男子の小田は、シニアに上がる前はジュニアでトップを競った仲であり、カテゴリーが分かれた今も親友同士だ。記者会見でフィンクは自身の連覇と小田の優勝について「本当にエキサイティング。若い選手が活躍することは、車いすテニス界にとって素晴らしいことだと思う」とコメントした。

(MA SPORTS)