パラスポーツ最高峰を目指す姿を追いかける最前線レポート--Next Stage--企画・取材:MA SPORTS

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2016年12月5日

ゴールボールの国際審判員 新居平康さん

「大事にしているのは、大きな声で正確に伝えること」


ボールの軌道を見る新居さん。「選手たちは“耳先”の変化を狙って多様な球種を投げ分ける。そういう駆け引きも見どころ」

「日本ゴールボール選手権大会」で審判長を務めた新居平康さん。2003年から国際審判員になり、2010年に最上級であるレベル3の資格を取得した。

最も大事にしているのは、目隠ししてプレーする選手たちのプレーを的確にフィードバックすることだ。「『アウト』などのコールははっきり大きな声で伝え、笛も強くしっかり吹く。レフェリーが素早くコールすることも重要で、たとえば『いまのアウトはラインぎりぎりだったな』とか『大きく外れたな』とか、選手もレフェリーの声で判断できるんです」

9月のリオパラリンピックでも、アジア人としてただひとりコートに立った。音が頼りのゴールボールでは観客に静かな観戦が求められる。だが、ブラジル戦などは競技中も地元の大歓声がやまない。「レフェリーが英語で静かな観戦を呼びかけた後、その都度、会場のアナウンサーにポルトガル語でも注意を促してもらうなど審判団でいろいろな対策をしました」。ゲームをコントロールするだけではない。会場をすべてコントロールするのが、レフェリーの役目であり、醍醐味なのだ。

現在、日本人の国際審判員は10人。東京パラリンピックに向けてさらに10人を養成することを目標に掲げる。「責任感は大きく、緊張感は半端ないが、試合後『だれがレフェリーやっていたんだっけ?』と言われるくらいスムーズに進行することを目指しています」

(MA SPORTS)