女子車椅子バスケットボール日本代表監督 橘香織さん
「自立した選手を育てるコーチでありたい」
好きなリーダーは、ラグビーのエディー・ジョーンズ氏。著書等で彼のコーチング哲学を学び、「自分に足りないものを自覚していく」のだという
女子車椅子バスケットボール日本代表が、東京パラリンピックに向け、チーム再建を進めている。
指揮を執るのは橘香織ヘッドコーチ。リオパラリンピック出場を逃し、暗闇の淵に立ちながらも前を向き、チームづくりの在り方を模索した。世界の上位チームが一試合平均70点を取るなか、日本は40点台に留まることが多い。そこで、健常、車椅子ともにバスケットボールの指導経験が豊富な長野志穂氏をアシスタントコーチに招集。課題だったオフェンス面での指導を託した。実は、「私と長野の指導法は全然違う」という。「でも、自分にない部分を埋めていくことができる」と自信を見せる。
東北に「SCRATCH」という女子車椅子バスケットボールチームがある。国内における競技人口の底上げのため、自身が立ち上げに関わった。だが、代表監督就任後、この愛着あるチームから離れる決断をした。すべては「チームジャパン」に意識を切り替えるため。「どのチームの選手も等距離でみる。それが私の大事な視点だと思っています」
選手には今まで以上にハードな練習を課し、高いレベルを求める。技術面・フィジカル面で強くなるだけではない。「自分の頭で考えられる自立した選手の育成を目指しています」と橘は言う。
「コートでプレーするのは選手。困った時にベンチと答え合わせを求める選手にはなってほしくない。コーチの言うことだけを聞くのではなく、最終的にはコーチがいなくても勝てる、そんなチームにしていきたい」
2020年、そしてそれ以降を見据えた選手の育成に、これからも力を注いでいく。
(MA SPORTS)