パラ陸上 山崎晃裕選手
野球から転向「やり投で世界の頂点へ」
「スピードも技術も知識もまだまだだけど、コツコツと力をつけていきたい」と山崎
山崎晃裕(東京国際大)が、日本選手権の男子F46のやり投でシーズンベストの51m56を出し、優勝した。彼のスポーツ人生には、分岐点があった。
2015年に東京都で行われたパラスポーツの選手発掘事業。このトライアウトで、パラ陸上のやり投に出会った。
先天的に右手関節部欠損があるが、小学3年から野球一筋で、高校は硬式野球のピッチャー。大学時代は障害者野球の日本代表として2014年の世界大会に出場し、チームの準優勝に貢献した。野球で培った肩の強さを活かせるという点も大きかったが、「やり投は投擲種目の中でも技術面の要素が大きい。比較的、体格による力の差が少ないので、努力次第で世界で戦える」と競技転向を決意した。
その決断の背景には、もうひとつの理由がある。「(パラリンピック種目でない)野球で世界選手権に出た時に、パラスポーツの評価のされ方や注目度の低さを感じた。すごく悩みましたが、東京でメダルを獲りたいという目標があったので、野球を犠牲にしてでも陸上で結果を残そうという考えになりました」
昨年4月、パラ陸上では初めてとなる国際大会・北京チャイナオープンに出場。肘を痛めてしまったが、現在の日本記録である54m48をマークした。それ以降はケガの要因となった上半身の弱さを改善するため、新たに背中のトレーニング専用の義手も作り、身体づくりに時間を割いてきた。
この54m48は、今季の世界ランキング2位に相当する数字だ。7月の世界選手権(イギリス・ロンドン)代表に初選出されており、「自己ベストが出せればメダル争いに食い込める」と意気込む。また「個人種目の世界選手権はどういう緊張感があるのか楽しみですね」と語る。
日の丸を背負う重みを感じながら、ロンドンでは最高のパフォーマンスを目指す。
(MA SPORTS)