ブラインドサッカー 菊島宙選手
男子顔負けのアグレッシブなプレーを見せた菊島。これからの活躍が楽しみだ。
「第16回アクサブレイブカップブラインドサッカー日本選手権」の決勝。埼玉T.Wingsの女子選手で中学3年の菊島宙(そら)が、ピッチの上で躍動した。男子選手に徹底マークされ、フィジカルの差を痛感しながらも相手DFを鋭くかわす突破力や、コーナーキックからダイレクトシュートを放つなど、最後まで果敢に攻め続けた。予選ラウンドから6試合で10得点をマークし得点王に輝いたが、決勝では不発に終わり、チームは準優勝。「悔しいです」と涙をぬぐった。
対戦相手は過去3度優勝している強豪・たまハッサーズ。その攻守の要で、男子日本代表の黒田智成や田中章仁と幾度とマッチアップした。黒田は菊島を「重心が低くてやりにくい。蹴りだしのボールさばき、ワンタッチのボールさばきは自分には真似できない。男子でも通用する」と評価する。
実は黒田は、菊島とブラインドサッカーをつないだ「恩師」である。先天性の視力障がいで視野が狭い菊島は、黒田が勤務する東京・八王子盲学校に定期的に通っていた小学4年の時、黒田に誘われ、ブラインドサッカーを始めた。もともと、小学2年からサッカーに親しんでおり、アイマスクを着用しても「恐怖心はない」とどんどん成長。今年4月に正式発足した女子日本代表チームのメンバーにも選ばれ、5月の国際大会では最多得点を挙げて優勝に貢献した。「なでしこジャパンのようなチームを目指したい」と菊島。得意のドリブルからシュートにつなぐ技術の向上を課題に挙げ、さらなるスケールアップに取り組んでいる。
来年は、八王子盲学校に進学予定だといい、「黒田先生が、時間があったら一緒にサッカーをやる、と言ってくれたんです。すごく楽しみですし、3年間頑張りたいな」。そう話すと、最後は15歳らしいさわやかな笑顔を見せた。
(MA SPORTS)