パラスポーツ最高峰を目指す姿を追いかける最前線レポート--Next Stage--企画・取材:MA SPORTS

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2018年1月22日

パラアイスホッケー日本代表コーチ 信田憲司さん

「パラリンピックまでに“戦う集団”作り上げる」


ボードを使って選手に指示を出す信田憲司コーチ。

旧知の仲である日本代表の中北浩仁監督から依頼を受け、昨年5月にパラアイスホッケー日本代表コーチに就任。「2018ジャパン パラアイスホッケーチャンピオンシップ」では、中北監督とともにベンチで采配を振るった。第3戦のチェコ戦は、日本のミスによりラスト2分で逆転負けを許した。「プレーヤーはやみくもにパックを追いかけ、GKも試合の流れを感じ取れていなかった。(第1、2戦の完敗より)僕はこの試合が、一番悔しい」と話し、唇をかんだ。

苫小牧市出身。高校卒業後はアイスホッケーの名門・国土計画に入社。日本リーグのベストGK賞に輝くなどチームの守護神として活躍し、日本代表GKにも選ばれた。指導者に転身後は、ジュニアチームやU20男子代表、女子日本代表などを率いてきた。現在は中央大学のコーチも務めている。その各カテゴリーのトップレベルの選手を指導してきた経験と手腕で、パラアイスホッケー日本代表の「守りから試合を作る」スタイルの再構築に取り組む。

指導する際は、目的を明確にしてドリルを行うことを心掛けている。ボードを使って粘り強く説明し、「なぜこれをやるのかを考えさせる」のが信田コーチ流だ。自分で考える習慣をつけ、それを氷上で実践して覚えていく。選手には徐々に浸透し、「第2、3セットの選手も上がってきている。チームの底上げをしてくれている」と、中北監督も全幅の信頼を寄せる。

普段は穏やかな信田コーチも、全力プレーを怠る選手がいれば容赦なくカツを入れる。だが、それも今のチームの可能性を感じているからだ。「守りを徹底すれば、パラリンピックで勝つチャンスは十分ある」と信田コーチ。

「彼らが世界で戦うプライドを持った時には、もっと強いチームになる。そのためにも、理解力と精神力を成長させたい」

本番まで1カ月半。メダル獲得に向け、“戦う集団”に作り上げていく。

(MA SPORTS)