パラスポーツ最高峰を目指す姿を追いかける最前線レポート--Next Stage--企画・取材:MA SPORTS

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2018年9月18日

パラ・パワーリフティング 樋口健太郎選手

義足の認知向上にも尽力「そのためにも結果を残す」


国際大会デビュー戦で、自身が持つ日本記録を更新した樋口健太郎。

9月8日~12日に北九州劇場で行われた「北九州2018ワールドパラパワーリフティングアジア‐オセアニアオープン選手権大会」で、男子72kg級の樋口健太郎(個人)が165㎏の日本新記録を樹立し、4位入賞を果たした。

本格的に競技を始めて1年足らずの樋口がいま、急成長を遂げている。昨年9月、オートバイを運転中に後方から車に衝突され、右大腿部から下を切断した。「なにかできるスポーツはないか」。受傷前にスポーツトレーナーとしての指導歴があった樋口は、すぐにパラ・パワーリフティングへの挑戦を決意。その年の12月には入院中の病院から特別に許可をもらい、全日本選手権に出場。しかも、「優勝」して周囲を驚かせた。

事故後、中学校の理科の非常勤講師の職から離れざるを得なかったが、今年4月から東京都荒川区の小学校で再び教壇に立つ。「仕事もしっかりやる。週に3回の練習も手を抜かない」。競技と仕事との両立が、樋口をさらに強くする。

目指すのは東京パラリンピック。この階級のトップ選手は、200㎏を軽々と挙げる。今大会、そのパフォーマンスを間近で見て“悔しい”と感じた。「まだ1年目。あと2年かけて彼らに追いつきたい」と決意を新たにする。

樋口には、もうひとつの目標がある。「義足の障がい者」の社会的認知度を向上させることだ。義足のことを知ってもらおうと、義肢装具士と連携して義足体験会をアピールしたり、板バネの義足で大会に出場したこともある。「オリンピックと同じくらい、パラリンピックも盛り上がってほしい」。そのためにも、さらなる結果を追求していくつもりだ。

(MA SPORTS)