パラスポーツ最高峰を目指す姿を追いかける最前線レポート--Next Stage--企画・取材:MA SPORTS

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2019年10月9日

車いすテニス 楽天オープン2019


単複で初代王者に輝いた国枝は、「有明で多くの人に車いすテニスのハイレベルなプレーを観てもらいたかった。それが達成できた満足感がある」と話した

「楽天オープン2019」で初めて車いすテニスの部(10月4日~6日)が開催された。男子シングルス8名、同ダブルス4組で頂点を争うもので、世界ランク2位でパラリンピックで3つの金メダルを獲得している国枝慎吾(ユニクロ)、同6位で今季の全豪オープンとウィンブルドンのダブルスを制したステファン・オルソン(スウェーデン)らが参戦した。

大会を通して、圧倒的な存在感を放ったのは国枝だった。オルソンと組んだダブルス2試合で1ゲームも落とさず優勝を飾ると、シングルス決勝でもオルソンにストレート勝ち。単複とも初代王者に輝いた。

東京2020パラリンピックの会場となる有明テニスの森公園が舞台。昨年のアジアパラ競技大会で優勝し、すでにパラリンピック出場権を獲得している国枝は、「有明での勝利は格別。この経験を来年に活かしたい」と力強く語った。ほぼ満員となった観客の前でプレーしたオルソンもまた、「素晴らしい雰囲気だった。来年、東京パラでここに戻ってくることを楽しみにしている」と笑顔を見せた。

若手選手にとっても貴重な経験の場となった。中学1年の小田凱人(一宮市立西成中)は、シングルス初戦でオルソンと対戦。ストレートで敗れたものの、「トップの選手からいろんなことを学ぶつもりで来た。オルソン選手のボールの質が高くて苦労したけれど、本当に刺激になった」と振り返る。

小田は、もともとサッカーに取り組んでいたが、病気で左下肢機能に障がいが残り、10歳の時に車いすテニスを始めた。今春のジャパンオープンの男子シングルスセカンドでは、最年少優勝を果たすなど、注目される存在だ。現在、13歳ながらすでに身長は170㎝あるといい、国枝は「将来、日本を背負っていく選手になる」と太鼓判を押す。その国枝に憧れ、「いつか倒したい」と語る小田。その日を目指して、さらに練習に励むつもりだ。

(MA SPORTS)