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日本パラリンピック委員会(JPC)河合純一委員長
東京2020パラリンピック競技大会日本代表選手団 団長
東京2020パラリンピック開幕まで、2月7日であと200日。今回はコラム特別編として、水泳の金メダリストで日本パラリンピック委員会(JPC)委員長(2020年1月1日就任)の河合純一さんに、どのような活動に力を入れていきたいか、また東京大会成功への想いをお聞きしました。
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「選手が最高のパフォーマンスを発揮できるよう、全力で支援していく」と語る河合委員長
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アスリート出身初のJPC委員長として、選手時代の経験を踏まえてどんな活動に力を入れていきたいとお考えですか? |
選手たちには、「現役の今、学んでおいた方がいいこと」があることを、いろんなチャンネルを通じて伝えていきたいと考えています。私は現役時代、たとえば競技環境について意見や要望を一選手として述べても周囲に届きにくいと感じていました。しかし、シドニーパラリンピックで日本選手団主将を務めた時、自分や水泳チームだけでなく全体に目を向けるようになり、物事の流れを俯瞰的に捉えることが大事だと気付きました。そして、感情論ではなく、ロジカルかつ具体的に提案や改善策を伝えていけば、理解者は増えるということを学んだんです。アスリートは、自分の身体やパフォーマンスは自分の努力で変えられるという経験をしているので、そこに依存してしまいがちですが、社会を変えるためにはまた違う努力が必要です。競技に向かうパッションと同じ想いでそこに取り組み、きちんと意見を伝えられるアスリートが増えてほしいですね。
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アスリートと社会との関わり方も新たなステージに来ていると感じます。 |
そうですね。東京2020パラリンピック開幕が近づき、これまでと比較できないほど注目度も高くなっています。それ自体は良いことですが、タレントではないので、アスリートとしての自分を見失わないようきちんと注意できるコーチやスタッフも必要です。JPCとしても間違ったアスリートファーストにならないよう、研修やセミナーなど教育に力を入れているところです。2020年以降を見据えたビジョンやバリューについても、アスリートと競技団体とともにしっかり議論し、共有していきたいと考えています。
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2月7日で東京2020パラリンピック開幕まで200日になりました。大会成功への想いを聞かせてください。 |
「オリンピックは平和の祭典」と言われますが、「パラリンピックは人間の可能性の祭典」だと思っています。選手たちはパラリンピックで最大限のパフォーマンスを発揮することでしょう。そして、その想像を超えるパフォーマンスを観た方が、人間の可能性に触れ、自分の中にある心のバリアを取り払うきっかけになれば、と思っています。JPCとしても「全競技会場を満員にする(フルスタジアム)」「日本代表選手団の大活躍(ベストパフォーマンス)」というふたつの目標達成のため、全身全霊をかけて日本代表選手団をリードしていきます。また、東京開催が決まった2013年から7年をかけてさまざまな検証を繰り返し、ハード面・ソフト面ともバリアフリー化を進めてきました。これが10年先、20年先の未来の人にとっても住みよい社会でなければいけません。その意味でも、閉会式の9月6日はこれまでの取り組みのゴールであり、同時に新たなスタートでもあります。東京大会の成功は、共生社会の実現に向けてひとつのベンチマークになるので、大会後の筋道をしっかりと示していきたいと考えています。
(MA SPORTS)
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