パラアイスホッケー日本代表候補
成長の先の覚醒に期待、北京を目指す新人選手たち
パラアイスホッケー日本代表候補は今季、今秋開催予定の世界選手権Bプール、そして北京2022パラリンピック出場権を懸けた最終予選に臨む。パラ行きの切符をつかみ取るため、日本パラアイスホッケー協会は今後、16回にわたる強化合宿と海外遠征等を実施する計画だ。
9日から3日間にわたり、青森県八戸市のFLAT HACHINOHEで開かれた第1次強化合宿には、同協会の強化指定選手と次世代育成選手ら29人が参加。そのうち、パラリンピック出場経験者は10人で、再起を期すベテラン勢に刺激を受ける形で若手・新人選手同士が切磋琢磨しあい、心技を磨いていた。車いすバスケットボールから転向し、パラアイスホッケー歴1年半で次世代育成選手に選ばれた正橋幸夫(東海アイスアークス)は、「同じような時期に競技を始めた仲間たちも、2~3週間見ないうちに成長していると感じる。でも、私も負けているとは思わない」と火花を散らす。
監督や先輩たちの教えを吸収し、成長を遂げている中村(右)
中村俊介(東京アイスバーンズ)は、日本スポーツ協会によるアスリート発掘事業「ジャパン・ライジング・スター・プロジェクト(J-STARプロジェクト)」3期生で、急成長を遂げている選手のひとり。スピードを活かしたスケーティングで中に切り込み、パックに食らいつこうとする気迫のこもったプレーで存在感を高めつつある。中村は17歳の時に転落事故で車いす生活に。高校時代は競泳の200m個人メドレーでインターハイ優勝を飾ったアスリートで、J-STARプロジェクトには当初、水泳で参加申請していたが、会場で協会スタッフに声をかけられたことがきっかけで、パラアイスホッケーを始めた。一時期は水泳との二足の草鞋を履いていたが、今年2月にパラアイスホッケーで次世代育成選手に選ばれ、北京を目指す覚悟を決めたという。「J-STARの同期生たちのなかで、自分が先頭を走るつもり」と言い切り、日々の自主トレーニングにも心血を注ぐ。
キャプテンの児玉直(東京アイスバーンズ)は、「ベテラン相手でも負けずに止めようとする選手が増えてきた。世界選手権までに爆発的な成長が期待できる選手もいる」と評価する。その一方で、「“一生懸命やれば認められる”という感覚ではだめ。誰かを蹴落としてでも上へ行く、くらいの意識を持って臨んでほしい」と話し、ルーキーたちの覚醒に期待を寄せていた。
(MA SPORTS)