パラスポーツ最高峰を目指す姿を追いかける最前線レポート--Next Stage--企画・取材:MA SPORTS

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2021年4月28日

陸上/アルペンスキー 村岡桃佳選手

夏冬パラ出場目指す村岡「必ずやり遂げる」


アルペンスキー金メダリストの村岡。自身にとってパラスポーツの原点である陸上競技に挑戦し、東京2020パラリンピック出場を目指す

平昌2018パラリンピックのアルペンスキーで金メダルを含む5個のメダルを獲得した村岡桃佳(トヨタ自動車)が、陸上競技で今夏の東京2020パラリンピック出場を目指している。コロナ禍で大会開催が1年延期になり、その半年後に冬季の北京大会が控える。異例の“二刀流”への挑戦となるが、「あきらめたくない。自分で決めたからには、やり遂げる」と強い覚悟をのぞかせる。

4歳の時に横断性髄膜炎を発症し、車いす生活に。小学3年で初めてチェアスキーで雪上を滑り、中学2年で本格的に競技を始めた。陸上との出会いは、それよりも早い小学2年の時。車いすスポーツの体験会でレーサーに乗り、そのスピード感に魅了された。大会で記録を出すようになり、病気でふさぎがちだった気持ちも前向きになった。「パラリンピックに出てみたい」。幼いころの夢は、先にアルペンスキーで2014年のソチ大会に初出場して叶えた。

村岡にとって陸上はパラスポーツの原点。「陸上でもパラリンピックに出場したい」。決意を新たにした村岡は、2019年5月に陸上への挑戦を表明。集中的にトレーニングに励み、翌月の日本選手権に出場するとT54クラスの女子100mでいきなり2位に入った。さらに7月の関東パラ陸上で日本記録を樹立し、一躍国内トップ戦線に躍り出た。100mの自己ベスト16秒34は東京2020パラリンピック出場圏内の好記録だが、「まだまだ」と課題にストイックに向き合う。

今年3月、2季ぶりに雪上での実戦に復帰。アルペンスキーのアジアカップ(長野・菅平)に出場した後は、陸上の日本選手権(東京・駒沢)を走った。4月は11日~15日にアルペンスキーのアジアカップ第2シリーズ(長野・野沢温泉)を滑り、その後は再び陸上に戻り、沖縄合宿と拠点の岡山での練習を経て、24日~25日のジャパンパラ競技大会(香川・高松)にエントリー。ゲレンデとトラックを往復するタイトなスケジュールをこなした。

そのジャパンパラで100mと400mを大会新で制した後、「正直、すごく忙しかった」と苦笑いを浮かべた村岡。ただ、「気持ちの切り替えはできている」と表情は明るい。東京、そして北京へ――。信念を貫くタフな24歳の挑戦から、目が離せない。

(MA SPORTS)