アルペンスキー 田中佳子選手
8年越しの想いを胸に、4度目の大舞台へ
アルペンスキー女子座位の田中佳子(Tポイント・ジャパン)が、2大会ぶり4度目となるパラリンピックに挑む。コースバリエーションが豊富なアメリカ・コロラド州に練習拠点を置く田中。2季前は、ワールドカップで複数回表彰台に上がるなど好調を維持。ただ、今季は新型コロナウイルス感染対策として大会転戦を回避する決断をし、コロラドでのトレーニングに専念した。北京大会では実戦不足のままライバルと競うことになるが、「練習での1本1本を緊張感を持ってスタートするようにしている」と話し、ベテランらしく落ち着いた様子で前を向く。
今季初の公式戦となった2月の「2022ジャパンパラアルペンスキー競技大会」では、ベテランらしい堅実な滑りを見せた
先天性の下肢障害のため両脚に義足をつけて生活する。2001年から競技を始め、トリノ大会から3大会連続でパラリンピックを戦ったが、平昌大会は出場を逃した。当時、夫の純二氏はパラアイスホッケー日本代表に名を連ねており、「素直に行ってらっしゃいと言えない気持ちだった」と振り返る。4年後を目指すうえで、モチベーションの組み立ての難しさも痛感した。しかし、周囲の人の応援を受け、再び競技に向き合うなかで、「自分がスポーツやスキーをする意義を見出すことができた」と、復活のきっかけを語る。
昨年の夏からパーソナルトレーナーの指導を受け、体幹強化に取り組む。滑りの安定感が増し、やや苦手としていた高速系種目のスーパー大回転のスピードに活かせるようになった。その成功体験の積み重ねによって、改めて競技の楽しさや喜びを実感しているところだ。
昨年10月、北京2022オリンピック・パラリンピック日本選手団の公式服装の発表会にパラアスリートを代表して出席した。実際に袖を通してステージに立ち、「本番でこれを着られるように頑張ろう」と気持ちを新たにしたという田中。本番直前まで国内で調整を続け、8年越しの想いを胸に集中力を高めていく。
(MA SPORTS)