スノーボード 小栗大地選手
スタンスを変えて頂点に挑む「北京では最高の滑りを」
平昌大会に続き、2度目のパラリンピックに挑むスノーボードの小栗大地(三進化学工業/男子LL1)。元スノーボードのプロ選手で経験豊富。実直な性格で面倒見がよく、仲間たちから慕われるスノーボードチームの大黒柱だ。
今年1月の世界選手権(ノルウェー)で力強い滑りを見せる小栗(写真提供:日本障害者スキー連盟)
4年前はバンクドスラロームで6位、スノーボードクロスで7位入賞を果たした。「実力通りの結果」と受け止め、リスタートを切った小栗がすぐに取り組んだのが、平昌大会前から模索していたグーフィースタンスへの変更だ。右足大腿切断の小栗の場合は、後ろ足を健足側にすることでキッカーや上下の起伏を蹴り上げることができ、縦セクションの加速につながる。
だが、20年数年間滑ってきたレギュラースタンスとは身体のあらゆる可動域が異なり、義足が前側か後ろ側かでセッティングも異なる。当時、国内には大腿義足でレースをする選手はほぼおらず、調整は手探りの状態。遠征先で海外の選手に話を聞くこともあったという。滑りの違和感がなくなったのは、昨季こと。「想像以上に時間がかかった。野球の右バッターが左バッターに変わるくらい違うものだった」と表現する。
その間、所属先の理解を得てより競技に集中できる環境を手にし、また同時進行で平昌大会から体重を6キロ増やした。今季も粘り強くブラッシュアップし、昨年12月のW杯フィンランド大会のスノーボードクロス第2戦では、フルメンバーがそろうなか2位と、結果につなげた。「今はレギュラーの時より確実に速くなっている」と、小栗は自信をのぞかせる。
北京2022パラリンピックのスノーボード日本代表は6人。ナショナルチームの合宿や遠征以外でもメンバーと一緒に室内スキー場やジャンプの練習施設に通って滑り込み、アドバイスを送りあい、全員が国際大会の表彰台を狙えるまで実力をつけてきた。同じ釜の飯を食った仲間の存在は、競技に取り組む原動力のひとつになっているという。
北京大会では2種目に出場予定。ライバルの北米勢やオランダ勢も好調を維持するなか、どこまで自分の滑りを発揮できるか。「コースの攻略がカギになる。最高の滑りをしたい」と小栗。4年間、挑戦してきたことをすべて出し切り、メダルを掴みに行く。
(MA SPORTS)