ブラインドフットボール 若杉遥選手
競技転向の若杉「世界と戦った経験を活かしたい」
2月の「さいたま市ノーマライゼーションカップ2023」でプレーする若杉
ゴールボール女子日本代表として3大会連続でパラリンピックに出場し、ロンドン2012大会で金メダル、東京2020大会で銅メダルを獲得し、昨年5月に現役を引退した若杉遥(ALSOK)が、新たなステージで活躍の場を広げている。
現在、ブラインドフットボールの選手として活動している若杉。昨年4月、女子日本代表合宿期間中に開かれた体験会に参加したことがきかっけで、競技を始めた。体験会に誘ってくれた高橋めぐみ氏がガイドを務めるクラブチーム「free bird mejirodai」に加入し、男子日本代表強化指定選手の鳥居健人や園部優月らとともに汗を流している。
国内の大会を経験したのち、昨年11月の「IBSA ブラインドサッカーアジア・オセアニア選手権2022」(インド)の女子日本代表に選ばれ、国際大会デビューを果たした。この大会で優勝した結果、女子日本代表は今年8月にイギリスで開催される女子カテゴリー初となる世界選手権への出場権を獲得。若杉はその一員としての活躍が期待されている。
中学2年で線維性骨異形成症を患い、視力を失った若杉。普通校から転校した盲学校でゴールボールに出会い、抜群のコントロールを武器に世界の強豪と対峙してきた。ブラインドフットボールに転向して間もないが、女子日本代表の山本夏幹監督は「成長著しく、身体は戦えるものを持っている」と評価する。また、女子チームのメンバーはみな明るく、元気があり、「こういう時はどうしていたの?」と積極的に若杉に尋ねる選手もいるといい、「競技は違うけれど、ゴールボールで世界と戦った経験を活かすことはできる。雰囲気づくりや声掛けは意識的にするようにしている」と、若杉は話す。
ブラインドフットボールの魅力について、「人もボールもどんどん流動的に動いていく。自由度がすごくあるスポーツで、そのなかで自分たちで判断し、選択していくところに面白さを感じている」と若杉。8月の世界選手権を含め、今後について、「もっとフィジカル強化が必要。代表合宿やクラブチームの練習以外に筋トレや走り込みをしているところ。やりたいプレーが増えてきて、思い通りにいかないこともあるけれど、今はすごく楽しい。これからも頑張っていきたい」と言葉に力を込め、前を向く。
(MA SPORTS)