ヴィシー2023Virtusグローバルゲームズ
知的障がい者スポーツの国際大会で日本代表選手団が活躍
バスケットボール女子は大会を2連覇する活躍を見せた
6月4日から10日まで、国際知的障がい者スポーツ連盟(Virtus)が運営する総合国際競技大会「ヴィシー2023Virtusグローバルゲームズ」がフランスで開かれた。日本代表選手団は13競技中6競技(陸上競技、水泳、卓球、バスケットボール、自転車競技、柔道)に参加し、金12個、銀14個、銅13個の計39個のメダルを獲得した。
バスケットボールは女子が大会2連覇を達成し、男子も過去最高の4位に入った。卓球は東京2020パラリンピック日本代表の古川佳奈美がシングルスとダブルスで表彰台に立ったのをはじめ、個人・団体で計5個のメダルを獲得。陸上競技では、川口穂奈美が女子やり投で40m97の世界新記録を樹立する活躍を見せ、水泳もメダルラッシュに沸いた。初参加となった自転車競技では、大谷春樹が男子60キロロードレースと同10キロタイムトライアルの2種目で堂々の銀メダルを獲得。また今大会から採用された柔道でも、女子70㎏級の山﨑真江が優勝、男子66㎏級の五十嵐尊が銅メダルを手にした。
今大会はダウン症(II2クラス)の選手の活躍も目立った。水泳では、小林倫子が女子100mと200m平泳ぎをともに世界新記録で制し、同50m平泳ぎでも優勝。森下綾子は同200mバタフライで世界記録を塗り替える泳ぎを見せ、同100mバタフライも制して2冠を達成。さらに、同200m個人メドレーでも銅メダル獲得と、存在感を示した。また陸上では、山本汐音が3種目で4位と奮起した。
日本代表選手団の井上明浩団長は、「第2回大会から参加している卓球、陸上競技、水泳は競技団体の選手発掘・育成の仕組みが構築されており、強化の成果が結果につながった。世界の競技レベルが上がるなか、バスケットボール女子の2連覇や、初出場の自転車や柔道でメダルを獲得したことも評価したい。帯同した支援スタッフが昼夜問わず、選手をケアしてくれたことも大きい」と振り返る。また、「メダルを獲得した選手を含め、満足いくパフォーマンスができた選手は、ものすごく良い表情になっていった。世界の舞台が彼らの心をかなり開いたようだ」と、大会参加を通して選手に変化や成長があったと明かす。
一方で、課題が見えた大会でもあった。日本からはボートや空手、テニスなど7競技には選手を派遣しておらず、発達障害(II3クラス)に参加した選手はゼロだった。知的障がい者スポーツは特別な用具は不要でルールも一般と同じだが、グローバルゲームズの認知度は決して高くない。井上団長は、「広く知ってもらうためには、まずより多くの知的障がい者にとってスポーツが日常化していくことが理想。一般競技団体やスペシャルオリンピックスとの連携を視野に入れつつ、まずは全国障害者スポーツ大会で発達障がいクラスの創設や知的障がいクラスを増やしていければ」と話している。
(MA SPORTS)