パラスポーツ最高峰を目指す姿を追いかける最前線レポート--Next Stage--企画・取材:MA SPORTS

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2024年3月26日

水泳 山口尚秀選手

パラ2連覇目指す山口「ベストパフォーマンスを出せるように」


得意の男子100m平泳ぎ(SB14)でパラリンピック2連覇を目指す山口

東京2020パラリンピックの水泳の金メダリスト・山口尚秀(四国ガス)が、2大会連続のパラリンピック出場を決めた。昨年の世界選手権(マンチェスター)は知的障がいクラスの男子100m平泳ぎ(SB14)で優勝。見事、大会3連覇を達成し、日本人第1号となるパリ2024パラリンピック日本代表に内定した。そして、今年3月の日本パラ水泳春季チャレンジレースに出場して条件を満たしたことで、日本知的障害者水泳連盟が正式に日本代表推薦選手に決定した。

春季チャレンジレースでは1分3秒62と、自身が持つ世界記録にはわずかに及ばなかったものの、身長1m87センチの体格を活かしたダイナミックかつ伸びやかな泳ぎで前半から積極的に飛ばし、他の選手を圧倒した。現在は、自宅に簡易的なジムを作り、ほぼ毎日、バーベルやマシンを使った筋力トレーニングを行っているといい、「力強いストロークが出せた。ここからさらに筋力をつけていけたら」と語る。

3歳で知的障がいを伴う自閉症と診断された。小学4年の時にスイミングスクールに通い始め、2017年の全国障害者スポーツ大会出場を機に本格的にパラ水泳に取り組み始めた。2019年に国際大会デビューを果たし、同年9月の世界選手権(ロンドン)で初出場ながら男子100m平泳ぎを当時の世界新記録で制し、大きな注目を集めた。

それから山口はタイムを次々と塗り替え、昨年3月の春季チャレンジレースでマークした世界記録の1分2秒75は、いまだに破られていない。ただ、山口に続く世界ランキング2位のジェイク・ミシェル(オーストラリア)、同3位のスコット・クイン(イギリス)らライバルたちも好調を維持する。山口も「パリには強豪が集まってくる。もっとキック力を上げないと」と警戒する。強化を図る山口は、昨年の世界選手権後、再びマンチェスターを訪れてイギリス代表の強化合宿に参加。オリンピック選手もゲストで参加する地区大会にも出場したといい、「海外選手の練習の取り組み方を吸収できた」と話し、前を向く。

パリ2024大会では、パラリンピック2連覇がかかる。「2連覇することは水泳界にとっても大きなこと」と受け止め、「自己ベスト更新イコール、世界記録更新ということ。万全の状態で臨み、ベストパフォーマンスを出せるようにしたい」と、言葉に力を込めた。

(MA SPORTS)