JPC職員(東京ガス株式会社より出向)
深澤 泰山(やすたか)さん
出向職員の深澤さん「JPCで培った“共生社会”の視点を私の武器に」
JPCで携わる仕事について笑顔で話す深澤さん
JPCには民間企業から出向している職員が複数名在籍している。東京ガス株式会社の深澤泰山さんもそのひとりだ。2022年4月から日本パラスポーツ協会 日本パラリンピック委員会(JPC)に勤め、現在は強化支援第一課で主に競技団体が行う強化活動の支援を行っている。
業務内容は幅広く、異種競技における合同トレーニング(クロストレーニング)の開催を支援する事業や、アスリート発掘事業「J-STARプロジェクト」のサポートなどに携わる。今夏のパリ2024パラリンピック競技大会では、日本代表選手団本部の総務を担当した。組織委員会と連携を取り、アスリートが快適に過ごすための準備をしたり、選手村の居住棟のなかで起こる水回りや鍵など設備の故障、選手の急病といったさまざまなトラブルに対応した。
パリ2024大会の選手村に設置した日本代表選手団のリラックスルームで田口亜希団長(左)と馬術の吉越奏詞選手(中央)と過ごす深澤さん
中学から34歳までラグビーに打ち込んだ。社会人になってからは、「ラグビーも100%、仕事も100%」で取り組んだ。自身の経験から、障がいの有無に関係なく、アスリートと呼ばれる人たちの陰の努力を心から尊重していた。「いつかそういう人たちをサポートする機会を得たい」。そう考えていた深澤さんは、社内の出向人員の募集に迷うことなく立候補したという。
もうひとつ理由があった。「社内でも『共生社会』という言葉が浸透し始めたころでしたが、それがどういうものなのか実はよく理解できていませんでした。その答えを知りたい、と思ったんです」と深澤さん。「タフなパラアスリートも、障がいによって支援が必要な人もいれば、不要な人もいる。共生社会の答えは“ひとつではない”ということが分かりました。次はそれを自分の言葉で説明できるようになりたいですね」と、力を込める。また、「以前は車いすの人を見かけたら、手伝ってよいのかどうか勝手にそわそわしていましたが、今はいい意味で特別視しなくなりました」と話すように、パラスポーツ界の中枢で働くなかで生まれた自身の変化にも気づいたそうだ。
企業に戻ったあとは、新しいことにチャレンジしてみたいと深澤さんは語る。「例えば、サービス開発や商品開発に携わることになったら、車いすユーザーや目が見えない人、耳が聞こえない人はどう利用する? といった目線が役に立つと思うんです。他の社員より選択肢を1個多く持っていることが、私の強みになるかもしれません。私の経験を社内で共有する機会も、ぜひ増やしていきたいと思っています」
(MA SPORTS)