パラスポーツ最高峰を目指す姿を追いかける最前線レポート--Next Stage--企画・取材:MA SPORTS

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2024年12月25日

デフ陸上 岡田海緒選手

女子デフ陸上界をけん引する岡田「東京大会で2種目金メダルを」


11月の日本選手権女子1500mを大会新記録で制した岡田(中央)

2025年11月に聴覚障がいがあるアスリートによる世界最高峰の総合スポーツ大会「第25回夏季デフリンピック競技大会 東京2025(以下、東京2025デフリンピック)」が開催される。デフ陸上の女子800mと1500mの日本記録保持者で、東京都出身の岡田海緒(MURC)は、「生まれ育った場所で開かれる特別な大会になる。いいパフォーマンスができるように、走りに磨きをかけていきたい」と力強く語る。

1997年生まれの27歳。生まれつき耳が聞こえず、高校まで東京都立中央ろう学校に通う。幼いころから走ることが好きだったが、中学には陸上部がなくバレーボール部に所属。高校で本格的に陸上を始めた。大学2年で出場した第23回夏季デフリンピック競技大会(トルコ)は、800mで6位、1500mで7位に入賞。2度目の出場となった前回の第24回夏季デフリンピック競技大会(ブラジル)では1500mで3位に入ったが、メイン種目の800mはコロナ禍による日本代表選手団の途中棄権により、走ることができなかった。「不完全燃焼だった」だけに、東京2025デフリンピックに懸ける想いは強い。

現在は、母校の日本女子大で現役生らとともに練習を重ねている。練習やレースで混戦になった際、デフの選手は他の選手の足音や息遣いといった「音」の情報がない分、前の選手の腕の振り方を見てペースを判断したり、自分より後ろの選手は影で距離感を把握するなど、「目」で情報を得ていくそうだ。スクリーンが設置されている場合は、そこに映る映像も全体の状況や自分の位置を確認する情報源となる。岡田は「会場によって記録が出やすい場所というのもあるけれど、どこであっても自分の走りができるように努力している」と話す。

今年7月の世界選手権(台湾)では、昨年不調だった1500mをキャンセルして800m一本に絞り、銅メダルを獲得した。今夏の合宿でクロスカントリー練習をしていた際に右ひざを痛めてしまったが完治し、1500mの練習も再開。11月末の日本選手権では2種目にエントリーし、それぞれ見事優勝を果たした。

東京2025デフリンピックでも2種目出場を目指す。「私の強みは粘り強さ。2種目ともに、表彰台の真ん中に上がりたい」と力強く話し、活躍を誓う。

(MA SPORTS)