パラスポーツ最高峰を目指す姿を追いかける最前線レポート--Next Stage--企画・取材:MA SPORTS

<<一覧に戻る

2025年3月14日

JPCクラス分けマネージャー 井土 祐樹さん

クラス分け拠点責任者の井土さん「選手が納得して競技に集中できるようサポート」


パラアスリートが公平に競技を行うために不可欠な「クラス分け」。障がいの種類や程度によって競技者をカテゴリー分けするものだ。クラス分けは競技ごとに細かく規定されており、ルール変更などを含めて最新で正確な情報収集は競技力向上にも関わってくる。近年はその重要性が増し、2024年4月にはJPCクラス分け情報・研究拠点が開設。国内外の情報を収集し、各競技団体への助言などを行っている。

拠点の責任者を務めるのが、井土祐樹さんだ。JPCクラス分けマネージャーとして、競技団体への教育や研修の実施、クラス分けに関わる医療機関や大学などの研究機関との連携に取り組むほか、クラス分けを先進的に取り組んでいるイギリスやオーストラリアといった各国とのネットワーク構築など、幅広い業務を担当している。

福岡県出身の井土さんは、小学生のころに地元にJリーグに加盟するプロサッカークラブチームが発足したことでスポーツに興味を持ったという。理学療法士を目指し、学生時代はスポーツトレーナーも経験。卒業後はリハビリ専門病院などで勤務をするなかで、国際的な地域医療にも関心が及び、青年海外協力隊に参加。派遣先のセントルシアで脊髄損傷者らのリハビリや生活支援に携わった。帰国後に全国障害者スポーツ大会で競技サポートをしたことをきっかけにパラスポーツ界での活動が広がり、2016年に車いすラグビーのクラシファイアとしての活動をスタート。その後、JPSA医学委員会クラス分け部会やJPCクラス分け委員会のメンバーになり、研修や視察を重ね、各競技団体の事例を通して知見を広げた。「いろいろな競技のことを学ぶほど、クラス分けがパラスポーツの根幹であることを理解し、実感できるようになりました」と、井土さんは振り返る。

2月に行ったJPC Gathering 2025のクラス分けに関する対談でファシリテーターを務めた井土さん(撮影/X-1)

東京2020パラリンピック競技大会の開催を機に、国内でもクラス分けの重要性は認知が進んだが、「まだ足りないのが現状」と課題を口にする。井土さんは、「クラス分けに対する透明性や信頼性を向上させることが、アスリートが競技に集中できる環境づくりに繋がり、さらにパラスポーツの価値を高めると考えています。選手一人ひとりが自分の現状を理解し、納得し、集中して競技に臨めるよう体制整備を進め、サポートしていきたいです」と、言葉に力を込める。

関連情報:日本パラリンピック委員会 クラス分け情報ページ

(MA SPORTS)