
JPCアスリートフォーラム2025
JPCアスリート委員会主導でフォーラムを初開催

日本パラリンピック委員会(以下、JPC)のアスリート委員会が8月24日、味の素ナショナルトレーニングセンターウエストで「JPCアスリートフォーラム2025」を初開催した。現役のパラリンピアンを含むJPC強化指定選手のほか、弁護士やSNSモニタリング専門家らが参加し、パラアスリートの競技生活の充実やキャリア形成の支援の在り方、スポーツ界が抱えるさまざまな課題の解決に向けた活動事例報告や意見交換を行った。

はじめに、三阪洋行JPCアスリート委員長が挨拶し、「パラアスリートが持つ価値は社会的にも影響を与える。アスリート自身が学び、考え、発信していくにはどうしたらいいかを一緒に考えていきたい」と参加者に呼びかけた。
JPCアスリート委員会の網本麻里副委員長(車いすバスケットボール)は、6月にドイツで3日間にわたり開かれた「IPCアスリートフォーラム」に参加した報告を行った。各国の代表約130人がグループセッションでクラス分けやアンチドーピング教育、SNSの活用やメンタルヘルスといった幅広い議題について話し合ったほか、網本JPCアスリート副委員長自身がパネルディスカッションの登壇者として東京2020パラリンピック競技大会(以下、東京2020大会)後の変化について話したといい、「街のアクセシビリティは大きな変化があったが、東京2020大会自体は過去のものになりつつある。アスリートとしてパラスポーツの価値を発信し続けることが大事だ、と伝えた」と振り返った。

次に、日本オリンピック委員会(以下、JOC)とJPCで誹謗中傷対策事業専任スタッフを務める竹下泰史氏がファシリテーターを務め、八木由里氏(JOC常任理事/弁護士)、髙森雅和氏(Japan Nexus Intelligence Inc.)、三阪JPCアスリート委員長とともに、「アスリートを守るための誹謗中傷対策について ~法・技術・経験より~」をテーマにしたパネルディスカッションを行った。SNSでのアスリートへの誹謗中傷が多発するなか、被害に遭った際の対応策や選択できる法的手段などについて事例をもとに紹介された。また、アスリートがSNSを活用した情報発信をする際の注意点やガイドライン整備といった課題なども議論され、参加者は熱心に聞き入っていた。
今回参加したアスリートでミラノ・コルティナ2026パラリンピック冬季競技大会の車いすカーリング・ペアで出場権を獲得している小川亜希選手は、「車いすカーリングをもっと広めるには、SNSを上手に使った情報発信が必要だと感じる。一方で誹謗中傷の対象になる可能性もあるが、今日の話を参考に、うまく活用していきたいと思った」と語った。パラアスリートが自己理解を深める貴重な機会となった本フォーラム。三阪JPCアスリート委員長は、「選手のリクエストやトレンドを追いながら、第2回、第3回と開催していきたい」と結んだ。
また、午後には非公開にてクラス分けとアンチドーピングについての研修、アスリートキャリア研究についてのパネルディスカッションが行われた。
(MA SPORTS)
