パラスポーツ最高峰を目指す姿を追いかける最前線レポート--Next Stage--企画・取材:MA SPORTS

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2021年8月22日

東京2020パラリンピック競技大会 日本代表選手団結団式

24日に開幕する東京2020パラリンピックに出場する日本代表選手団の結団式が17日、都内で行われた。今大会は22競技に史上最多となる255人の選手を派遣する(17日現在)。主将を務める車いすテニスの国枝慎吾(ユニクロ)は、「言葉よりも、自分のプレーで選手団を勢いづかせたい」と意気込みを語った。

1年の延期を経て、いよいよ開幕を迎える東京2020パラリンピック。結団式では登壇者以外はオンラインで参加した

(写真左から)団旗を手にする岩渕と谷、主将の国枝、副主将の浦田

主将の国枝が決意表明「勇気と覚悟を持って、全力で戦い抜く」

コロナ禍で1年延期となった厳しい情勢の中でも日本選手団が活躍し、多くの感動を呼んだオリンピックから、バトンが渡された。新型コロナウイルス感染防止のため、登壇者は国枝と副主将の浦田理恵(ゴールボール/総合メディカル)、旗手を務める岩渕幸洋(卓球/協和キリン)と谷真海(トライアスロン/サントリーホールディングス)の4人のみで、他の選手らはオンラインで参加した。

ステージ上では団旗の授与が行われ、日本パラリンピック委員会の鳥原光憲会長から河合純一団長を経て、旗手の岩渕と谷に手渡された。ふたりの旗手の介添えのもと、国枝は選手を代表して「オリンピックでは日本代表選手団の全力でチャレンジし、ベストを尽くす姿を目の当たりにして、心震える場面が何度もありました。日本の未来を担う子どもたちに、将来の夢を感じさせてくれました。そして、東京パラリンピックに出場する私たちも、勇気と覚悟を持って、全力で戦い抜くことをここに誓います」と決意表明した。

また、秋篠宮皇嗣殿下がオンラインで出席され、選手団に激励のおことばを寄せられた。オリンピックのフェンシング男子エペ団体で金メダルを獲得した見延和靖(ネクサス)や副主将を務めた卓球の石川佳純(全農)らメダリスト、菅義偉首相からも応援メッセージが送られた。

未来を担う子どもたちへのメッセージ

結団式後には記者会見が行われ、4選手と河合団長が再び登壇した。今大会はすべての会場で無観客開催となるが、児童や生徒に観戦機会を提供する「学校連携プログラム」は希望制で実施される方針。河合団長は、新型コロナ感染対策の徹底が必要としたうえで、「子どもたちにこそ、生で観ていただく意義があると思っている。テレビやネット観戦も素晴らしいことだが、会場で選手の息づかいや音など、カメラの外側を五感を使って感じてほしい」と語った。

谷は、「子どもたちにパラリンピックを観てもらうチャンスができたことに心から感謝をしたい」とコメント。陸上選手として出場したロンドン大会を振り返り、「たくさんの子どもたちが選手の名前を呼びながら応援している姿を見て、彼らの価値観を大きく変えてくれる瞬間だろうなと感じた。先に開催された東京オリンピックでは、そのスポーツの力を証明していただいたと思う。次は私たちパラリンピアンが引き継ぐ番」と言葉に想いを込めた。

「無観客という状況を受け入れて、選手は100%の力をこの舞台で出す決意でいる」と力強く話した国枝

パラリンピックのレガシーへの想い

続いて、2大会ぶりの金メダル獲得を目指す国枝は、「大会の中止も議論されてきた中、来週には開会式を迎えられるのは奇跡的なこと。そのことに感謝しなければならない」と話し、医療従事者や開催に尽力した関係者らに謝意を述べた。また、無観客での実施でどうレガシーを残していくかという質問に対しては、「一人でも多くの方に車いすテニス、またパラスポーツのファンになってもらいたいという気持ちが強くある。そのためには、選手が観る方の想像を一歩、二歩超えること、これが一番だと思う。試合の翌日に、学校で『あの選手、すごかったね!』とパラリンピックの話題で持ちきりになるようなプレーをしたい」と力強く語った。

浦田はロンドン大会のゴールボールで金メダルを獲得。もともとはアテネパラリンピックで日本代表が銅メダルを獲得したニュースを聞いたことがきっかけで競技を始めた。「東京開催が決まり、パラスポーツをいろんな人たちに知ってもらう機会が増えた。結果を出すことで与える影響力が大きいことは実感しているところ。今大会も目標の金メダルを獲得することで、『見えなくてもあんなことができるんだね。自分もやってみようかな』という一歩になれたら嬉しい」と笑顔を見せた。

岩渕は競技活動と並行して、パラ卓球のイベントを自ら企画するなど、パラスポーツの普及活動にも力を入れてきた。「やはりこの東京パラリンピックでしっかり結果を出して、多くの人に知ってもらうことが大事だと思う。そして、さらに広がりを見せるためには大会後もパラスポーツに関わる機会が必要だし、そこで観ている人が驚くようなパフォーマンスをして、パラスポーツの発展に貢献していきたい」と、パラリンピックムーブメントの継続に意欲を見せていた。

(MA SPORTS)