パラスポーツ最高峰を目指す姿を追いかける最前線レポート--Next Stage--企画・取材:MA SPORTS

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2015年6月17日

東日本大震災復興支援 厚生労働大臣杯争奪
第28回日本車椅子ツインバスケットボール選手権大会

東京のHorsetailが盤石の強さで史上初の3連覇!

円内の小田勇人(1.5)がゴールを量産し、Horsetailの優勝を呼び込んだ

クラブチーム日本一を決する
上位チームの競り合いに注目

車椅子ツインバスケットボールのチーム日本一を決める「東日本大震災復興支援 厚生労働大臣杯争奪 第28回日本車椅子ツインバスケットボール選手権大会」が6月13日と14日の2日間、小牧市スポーツ公園総合体育館パークアリーナ小牧で開催された。

年に1度行われる本大会には、全国から各地区ブロックの予選を勝ち抜いた精鋭が集結。昨年まで14チームだった出場枠が今年から12チームとなり、トーナメント方式による優勝争いは、より接戦になることが見込まれた。

14日に行われた決勝では、Horsetail(東京)が、キャロッツ(兵庫)を67-44と圧倒し、大会初の3連覇を達成した。

3年連続の栄冠を手にし、笑顔を見せるHorsetailのメンバー

2つのゴールを使い分ける
日本生まれのツインバスケとは

車椅子ツインバスケットボールは、一般に知られる“車椅子バスケットボール”(脊髄損傷者などによるバスケ)とは異なる、四肢まひ者などのためのスポーツ。一般的な3.05mの高さのバスケットに加え、1.20mの低いバスケットも使用することが最大の特徴で、高いゴールにシュートが届かない人でも楽しめるように日本で考案された。選手にはそれぞれ障がいのレベルによって持ち点が与えられ、コート上の5人の持ち点が合計11.5点を超えてはならない。さらに、持ち点とは別に、選手各々の運動機能によってショット方法も定められる。ヘッドバンドの色や有無により、上シューター(上ゴールにショット/ヘッドバンドなし)、円外シューター(下ゴールの周辺に設定された直径3.6mのフリースローサークルの外からショット/白バンド装着)、円内シューター(下ゴールのフリースローサークルの中からショット/赤バンド装着)の3つに区分される。

この競技では、2つのバスケットを効果的に使い分けるオフェンスに対して、常にフルコートでディフェンスしなければならず、相手のミスを誘う頭脳戦や磨き抜かれた連携プレーが見どころだ。今大会も、日本一を決める戦いにふさわしく、チームメートの機能や能力を知るからこそ生まれる見事なパスワーク、バックボードのない下ゴールにも高確率でシュートを決める円外プレーヤーの活躍などが見る者をうならせた。

どのラインも穴がない
王者が圧巻の勝利

大会の歴史において、過去6チームが2連覇を果たしているが、3連覇を成し遂げたチームはまだない。今大会は、Horsetailが3連覇を達成するかに注目が集まった。

第1シードの王者・Horsetailは、1日目に地元・KINGS(愛知)を69-32で、準決勝では沖縄フェニックスを78-52と圧倒し、決勝に進出。一方キャロッツは、ケガでメンバーを欠き、ベストメンバーで大会に臨めなかった。それでも、1回戦で東北DREAMs(岩手)を下した後、バスターズ(栃木)、神奈川JUNKSに苦しみながらも勝利を収めて決勝へ。とくに決勝の常連・神奈川JUNKSと対戦した準決勝は、拮抗した展開を粘り強く戦い、第4Qで一気にリードを奪うと、62-54で勝利。今大会の得点王を獲得した草間智(1.5/円内)は「勝ちたいという意識の強さが集中力と爆発力を生んだ」と振り返り、自信をつけて決勝につなげた。

そして決勝戦。試合は、上シューター・野田徳文(4.0)のランニングシュートでキャロッツが先制。だが「決勝の舞台は独特で、動きにいつものキレがなかった」(野田)と言う通り、得点が続かない。対するHorsetailは、機動力のある羽賀理之(3.0/上)がボールを前に運び、円内の選手にボールを集める形で得点を量産。「3連覇はそんなに意識していない」(佐藤喜昭キャプテン)という余裕の戦いぶりで、第1Qで18-10のリードを奪う。続く第2Qでは、Horsetailのセカンドラインメンバーがコートに入り、ファーストラインに匹敵する実力を発揮。主要メンバーを休ませられないキャロッツを40-18まで突き放して試合を折り返し、チーム力の差を見せつけた。その後も、フレッシュなサードラインを起用しつつ、試合の主導権を譲らなかったHorsetailが、67-44で勝利。前人未到の3連覇を飾った。

高い決定力で試合のペースを作ったHorsetailの佐藤喜昭(3.0/円外)

Horsetailキャプテンの佐藤は「うちのチームは頭抜けた(障がいの軽い)プレーヤーがいない。だから、誰もがコート上のナンバー1でもナンバー5の役割でもこなせるように取り組んできた。それがチーム全体の底上げにつながったと思う」と、練習の成果を口にし、チームの完成度に胸を張った。

さらにMVPを獲得した羽賀など、他競技でも活躍し、運動量の多い選手がいることも、強さの所以だろう。 「スターのいないHorsetailは、相手チームにパワーのある選手がいる場合、1対1のディフェンスではとても太刀打ちできない。そこで、(同様の障がいレベルの選手がプレーする)ウィルチェアーラグビーの要素を取り入れ、『2人がかりでターゲットとなる選手を止めに向かい、成功したら1人がすぐにターゲットから離れる』動きを徹底させた」 と話すのは、Horsetailの中核を担う河野俊介(2.5/円外)だ。

決勝では、その強いプレスを仕掛けてキャロッツの上シューターの攻撃力を封じることに成功。つまり、障がいの重い選手が障がいの軽い選手を抑えることで、残りのコート全体の障がい持ち点のミスマッチを生み、その状態で確実にボール保持権を奪って試合を優位に進めたのだ。

「若手とベテランの融合もうまくいっており、チームはまだまだ進化中」と佐藤キャプテンは語る。Horsetailの連覇はいつまで続くのか。来年に向けた戦いに注目が集まる。

(MA SPORTS)