第17回日本ボッチャ選手権大会本大会
杉村英孝が王者奪還、藤井友里子、藤井金太朗が連覇！
注目が集まったBC2クラス決勝。杉村（右）の正確なショットが光り、エース廣瀬に勝利した
第17回日本ボッチャ選手権大会本大会が12月26日から2日間にわたって、グリーンアリーナ神戸で開催された。この大会の結果は、パラリンピックイヤーである2016年度の強化指定選手選考基準のひとつになる。さらに、次回の選手権大会のシード権もかかっており、それぞれのクラスで白熱した試合が展開された。
大会には、インチョン2014アジアパラ競技大会に出場した奈良淳平（BC3/チーム心‐kokoro‐）、梅村祐紀（BC2/あいちボッチャ協会）ら、約70人が出場。パラリンピックなど国際大会で対象となるBC1〜BC4クラスのほか、座位と立位に分けて行うオープンクラスも開催され、世界の舞台で戦うトップから初出場の選手まで、さまざまなレベルのプレーヤーが全国各地から集結した。
注目のBC2クラス決勝は
白熱した好ゲームに
藤井金太朗がBC4クラスを制した
試合は、個人戦のみ。各クラス４人ずつに分けられた予選リーグの上位2人が、最終日の決勝トーナメントに進む形式だ。4エンド制で行われ、総得点で競う。12コートで並行して試合が進行し、観客は2階席から目をこらして勝負の行方を見守った。
とりわけ決勝トーナメントは、取ったら取り返す好ゲームが続き、BC1クラスは 藤井友里子（富山ボッチャクラブ）、BC3クラスは 高橋和樹（埼玉ボッチャクラブ）、BC4クラスは藤井金太朗（市原ボッチャクラブ）がそれぞれ制した。
注目のBC2クラスは、大方の予想どおり、日本のボッチャ界を牽引する“トップ2”が決勝に駒を進めた。2008年北京・2012年ロンドンパラリンピックに出場したエース廣瀬隆喜（市原ボッチャクラブ） と、2012年ロンドンパラリンピック日本代表で、現在日本チームのキャプテンを務める杉村英孝（静岡ボッチャ協会）である。
BC3クラスでは若手が躍動した
緊迫した雰囲気の中で行われた試合は、まず先攻の杉村がジャックボールの手前に１球目を置くことに成功し、１点を先制。だが、前回優勝の廣瀬も譲らない。第2エンドのジャックボールを、杉村の苦手な位置に置いた後、自分の青いボールをピタリと寄せる。廣瀬は叫んで気合いを入れ、関係者の視線をコートに集めた。1-1の同点で迎えた第3エンドは、杉村が「気持ちをリセットし直し、いい形ではなかったが、なんとか取った」。杉村はそのままリズムに乗り、第4エンドでも見事な一球を決め、1点を追加。3-1で勝利をつかんだ。
前回大会で3連覇を阻まれた廣瀬を破り、2大会ぶりの優勝。杉村は「ここを目標にやってきた。決勝の相手がライバルの廣瀬選手だった分、何倍も嬉しさがある」と笑顔で振り返った。
一方の廣瀬は「連覇するつもりで練習に取り組んだんですが……。強い選手はミスがないが、やはりミスが多かったのが敗因。来年に向けて頑張りたい」と次回大会でのリベンジを誓った。
また、オープン立位は、皆森俊夫（伊丹ボッチャクラブ）が、オープン座位は嶋谷長治（青山彩光苑穴水ライフサポートセンター）が優勝を飾った。
国内のレベルが向上。東京に期待膨らむ
大会を総括し、日本ボッチャ協会の村上光輝強化指導部長は、「ハイレベルな試合が多く見られた。世界の中でも日本のレベルは上がっている。例えば（比較的障がいの重い）BC1クラスの選手も、日本の選手はいろいろな方向に投げられる。若手も多く、東京でどれだけ戦えるか楽しみ」と自信を見せる。
ロンドンパラリンピックにも出場している藤井友里子は、優勝の喜びもつかの間、「もっと落ち着いて試合ができるようにしたい。（投球の）精度を磨いていきたいです」と気を引き締め、高みを見据えた。
そして、2016年はリオイヤー。大勝負を前に、現在、BC2の世界ランキング7位の廣瀬は、「今後出場するであろう国際大会で課題を修正し、代表に選ばれたら、北京・ロンドンで成し遂げられなかったメダル獲得という目標に向かって日本チームみんなで挑戦したい」と力を込めた。
リオパラリンピックの出場枠は、3月末にBISFed（国際ボッチャ連盟）より発表される。チーム、ペア、個人の各クラスの世界ランキングで上位に位置していることが条件だ。日本は、チームやBC2クラスでの出場枠獲得が濃厚だが、3月に北京で開催される世界選手権で出場枠拡大を目指す。
「これから合宿でチーム力を上げていく。今大会で対戦した選手とも、今後はライバルではなく、チーム一丸となって戦います」とキャプテンの杉村。リオへの戦いが、いよいよ本格化していく。
（MA SPORTS）
