FIDジャパン・チャンピオンリーグ卓球大会
男子の加藤、女子の美遠がV! 東京に向けて若手が台頭
1月14日、15日、横浜市平沼記念体育館で知的障がい者のための「2016FIDジャパン・チャンピオンリーグ卓球大会(第16回)」が開催された。昨年6月のチャンピオンシップ大会を勝ち上がった男子ベスト12、女子ベスト8の選手が集結し、総当たりによるリーグ戦で“真の日本一”を争った。
気迫のこもったプレーでライバルに勝利した男子の加藤耕也
23歳の加藤がリオパラリンピック日本代表の竹守を撃破
20コートがズラリと並ぶ体育館。誰よりも闘志をむき出しにしていたのは、男子の加藤耕也だ。中学1年から卓球を始めたが、大学進学を機に一度リタイア。しかし、再びラケットを握り、昨年の大会からカムバックした。きっかけは、2020年のパラリンピックが日本で開催されることだった。
6月のチャンピオンシップ大会では竹守彪に決勝で敗れシングルス準優勝。「リベンジしたい」と臨んだ大会だった。だが、勝ち上がり方式のチャンピオンシップ大会とは異なり、11試合を集中力高く戦い続けなければならないリーグ戦は想像以上に苦しかったという。
「初めてのリーグ戦で自信はなかった。一試合目から緊張した」という加藤。それでも、9勝1敗で2位につけ、最終戦で全勝の竹守と激突した。
そんな加藤に対し、「全員がライバル」と話す竹守は、現在、両ハンドのドライブなどを強化しているところで、今大会は「無心で攻めるだけ」と話していた。
加藤は、そんな竹守に気迫で打ち勝った。得意のサーブでリズムをつかむと、攻撃型の竹守の決め球を撃ち返し、主導権を与えない。「意地でも止めてやろう」と粘り強く戦い、終わってみればセットカウント3-0。チャンピオンシップ大会の悔しさを晴らす、価値ある圧勝だった。
「おっしゃー!」。勝利を手にした瞬間、勝利の雄たけびを上げた加藤は、仰向けになってその喜びを体全体で表した。東京パラリンピック日本代表を目指す彼にとって、破らなければならない壁が、リオパラリンピック日本代表の竹守だったのだ。
伸び盛りの美遠さゆりは東京パラリンピックを目指す
試合後、「根性だけは誰にも負けない。とにかく気持ちで(相手の球を)止めることができたのが勝因」と笑顔をにじませた。
リーグ戦の結果、加藤と竹守が1敗同士で並んだが、直接対決で勝利した加藤が優勝。「勝つことはできたが、攻撃力はまだまだ。これからもっと自信をつけて、東京パラリンピックでは金メダルを目指したい」と力強く語った。
また、3位には15歳の浅野俊が入った。浅野はツブ高ラバーを使用して独特な返球をするベテラン竹田隆らに敗れたものの、優勝した加藤には勝利。今後、INAS(国際知的障害者スポーツ連盟)の選手資格認定を受けて世界に羽ばたいていく。
女子は、期待の若手・美遠が笑顔の初優勝!
優勝候補の櫨山七菜子、リオパラリンピック日本代表の伊藤槙紀らが出場した女子は混戦模様。7戦を終え、美遠さゆり、木村はるみ、川﨑歩実の3人が5勝2敗で並んだ。順位は、木村と川崎に勝利している美遠が1位となり、初優勝を飾った。
大会を終え、笑顔で写真に納まる選手たち
美遠は競技歴6年目。大会前には、苦手なサーブを「必ず100本以上打つ」特訓を課しているといい、「コースと回転を重視して練習した。そのサーブが決まってよかった」と笑顔。今後の目標について「東京パラリンピックに出ること。そして、東京が終わってからも活躍し続けたい。負けるのが嫌いなので」と続けた。
また、上位選手とは別にオープンリーグが開催され、男子は約100人、女子は約30人がエントリー。リーグ戦を勝ち抜いた選手による決勝トーナメントは、女子は松井真由が決勝でストレート勝ち。男子は、地元・神奈川の中学生、小幡光輝が3-1で小東弘也を下し、頂点に立った。
(MA SPORTS)