パラスポーツ最高峰を目指す姿を追いかける最前線レポート--Next Stage--企画・取材:MA SPORTS

<<一覧に戻る

2017年2月17日

2017国際親善女子車椅子バスケットボール大阪大会

リオ逃した悔しさバネに、成長見せた日本が3位!

「2017国際親善女子車椅子バスケットボール大阪大会(大阪カップ)」が2月9日から3日間の日程で、大阪市中央体育館で開かれた。国内唯一の女子国際大会で、リオパラリンピック3位のオランダ、同4位でヨーロッパチャンピオンのイギリス、そしてオーストラリアが参戦。日本代表を含む4ヵ国で頂点を争った。

連日、大勢の観客が会場に足を運び声援を送った大阪カップ

積極的にシュートを狙うローポインターの萩野。大会ベスト5に選ばれた

強豪オランダを延長戦の末に下す

初戦でパラリンピック銅メダルの強豪・オランダと対戦した日本。接戦となり、延長戦にもつれこむも、最後まで走り負けなかった。

スタートは動きに硬さがみられた日本。第1クォーター中盤に逆転すると、その勢いのまま直後に萩野真世(1.5)が3ポイントシュートを決めるなどして、3点リードで前半を終える展開に。ところが後半はオランダも高さを活かして確実に点を重ね、最終クォーターに逆転を許してしまう。

相手にも疲れが見え始めた終盤。再び日本チームにリズムを与えたのがキャプテン藤井郁美(4.0)だった。強い当たりをものともせず、思い切りのよいシュートで連続得点を決め、59対59の同点に追いつく。5分間の延長戦に入っても集中力を切らさない日本は、藤井の連続ゴールでリードを奪うと、ローポインターの北間優衣(1.0)や柳本あまね(2.5)も得点。69対68の1点差で勝利した。

「チャンスがあればどんどん打て」というベンチの指示通り、全員プレーで手にした白星。代表としては、実に2015年7月のオランダ遠征でイギリスに勝って以来の勝利だった。

ドイツからチームに合流し、存在感を見せた網本

リズムつかめず決勝進出を逃す痛い連敗

イギリスとのカードになった三位決定戦。選手の気持ちは切れていなかった。日本は前日に機能しなかったディフェンスを修正。ボールマンに対する素早いプレッシャーで、序盤から試合の主導権を握った。チームの柱である北田千尋(4.5)がスピードを活かして攻め込むと、相手はたまらずファウルする場面も。後半に入り、一時1点差まで詰め寄られるが、ドイツ1部リーグケルンでプレーする網本麻里(4.5)の相手の守備を切り裂くカットインからのシュートなどで突き放し、日本が55対44で勝利した。

網本は18分半の出場時間ながら13ゴールを決める活躍。大会を振り返り、「悪い流れを断ち切ることだけを考えていた。初戦に勝った後に二連敗して、最後にまた勝利できたのが今までと違うところだと思う」と、チームの成長を口にする。

大会を通して見えた課題と成長

日本代表はリオパラリンピック出場を逃した後、チームの再建に1年間かけて取り組んできた。合宿でも戦略や戦術より、とにかく走り込み、土台づくりに時間を割いた。「これまでは海外勢にプレスをかけたれたら前半の3分で決着がついてしまう試合もあったけれど、それが少なくなり、最後まで粘ることができた」と、手ごたえを感じた様子の橘香織ヘッドコーチ。

選手間のコミュニケーションが密になり、負け試合から出た課題を次の試合に活かす修正力もついてきた。一方で、2020年に向けて課題も明確になった。いいディフェンスをしたあとでターンオーバーが増えたり、パスミスやキャッチミスで試合の流れを止めてしまったりするシーンもあった。「(高さのない日本は)スピードを磨いてシュートチャンスを確実に作る、積極的にゴール下に入ってバスケットカウントをもらって3点プレーを狙うことがオフェンス戦略のひとつになる。もっと速攻で点を取っていきたいので、また走り込みから始めたいと思います」

4月以降は海外遠征が控えているという橘ジャパン。3年後の東京に向けて、次のギアを入れていく。

(MA SPORTS)