パラスポーツ最高峰を目指す姿を追いかける最前線レポート--Next Stage--企画・取材:MA SPORTS

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2018年1月17日

2018ジャパン パラアイスホッケーチャンピオンシップ

平昌パラの前哨戦で完敗、本番に向け課題残す

平昌パラリンピックに出場する4チームによる国際大会「2018ジャパン パラアイスホッケーチャンピオンシップ」が1月7日から13日まで長野市のビッグハットで行われた。日本は1次リーグから5戦全敗となり、最下位で大会を終えた。決勝では韓国がノルウェーを6-0で下して優勝。また、大会後は、平昌パラリンピック日本代表候補選手17名が発表された。

3位決定戦でチェコと対戦したが、0-4で敗れた。

準決勝のタイムアウトで動きを確認する選手たち。

ミスでリズム崩し、力出し切れず

韓国とチェコは、パラリンピックの予選グループで日本と同組。今大会は本番前の貴重な腕試しの機会となったが、日本は自分たちのミスから苦境に陥った。

1次リーグ初戦のノルウェー戦は立ち上がりから動きが鈍く、0-8と完敗。続く韓国戦も、試合開始54秒で先制点を許すと、防戦一方に。日本のGKのイージーミスも重なり、1‐9と大敗を喫した。

第3戦では、前日からの悪い流れを断ち切るべく、序盤からアタッキングゾーンでチェコを攻める日本。児玉直(東京アイスバーンズ)が先制点を挙げた後、3-1とリードを広げた。ところが、最終ピリオドに日本の反則から失点して追い上げられると、焦りから守りが薄くなり、ターンオーバーを許した結果、さらに2点を献上。痛恨のミスから招いた逆転負けに、選手たちは肩を落とした。

もう一度、守りのシステム再構築を

準決勝では韓国と再戦。1次リーグの反省から、ディフェンシブな第2セットをスターティングメンバーに起用したが、徐々にペースは韓国に。メンバーチェンジ直後の失点といったベンチワークのミスもあり、0-5で敗れた。3位決定戦も堅守のチェコを攻略できずに完封負けと、本番に向け多くの課題を残すこととなった。

5試合で30失点の要因は、GKのミスと、プレーヤーのフォーメーションが崩れてしまったことにある。だが、強化してきた守りのシステムが機能している場面では、ライバルチームと対等に戦うことができていた。キャプテンの須藤悟(北海道ベアーズ)は、「ディフェンスの連携をもう一度確認し、パラまでに精度を上げていきたい」と声を絞り出し、前を向いた。

「平昌では“勝つ意思”を持つことが重要」と中北浩仁監督は話す。

中北監督「平昌では勝ちにこだわる」

厳しい現実に直面した日本チーム。あと2か月で自分たちのプレーを取り戻すしかない。日本代表の中北浩仁監督に今大会の振り返りと、パラリンピックについて話を聞いた。

―― 全敗という結果をどう受け止めますか。
 1戦目と2戦目で17失点。GKが想定外の出来の悪さでした。GKはチームの土台。一家を支える屋台骨が崩れるようでは、柱が立てられない。ただし、今回はプレーヤーもミスが多く、その隙を相手につかれてしまった。悪循環の理由を追求できなければ、同じことを繰り返してしまうので、選手一人ひとりが責任を感じ、変わっていかないといけません。

―― 最終予選で作った流れを持続できませんでした。
 チームの状態に波はあるものですが、今回は気の緩みがあり、最終予選時のような「絶対に打たせない」「入れさせない」という選手の気迫が感じられませんでした。今大会、ともに最終予選を戦ったチェコが格上のノルウェーに勝利しました。彼らが、自分たちのポジションをきちんと守ってプレーすれば勝てる、ということを証明してくれたわけです。日本はそのチェコを相手に、最終予選で1点差のタイトな試合をしたのだから、自信にしてほしいです。

―― ロッカールームでは選手にどのような話をされましたか。
 パラリンピアンになれば、当然「勝ち」を求められます。その意識を持つ必要性と、平昌はこのスポーツを存続させ、次の世代に渡していくうえでものすごく大事なゲートであり、我々には単にメダルを獲るだけではなく、そうした最大のミッションがあることを絶対に忘れてはならない、と伝えました。

―― 平昌パラリンピックの日本代表候補選手の発表がありました。選考のポイントは?
 練習時のタイムレコードなどのデータを参考にしつつ、選手がフューチャービジョンを持っているか、を注視していました。まず、「勝つ意思」があるかどうか。次に、「安定性と安心感」、「戦略や戦術の実践力」、「フィジカル」、そして「リーダーシップ」です。真面目にホッケーに向き合う姿勢、勝利にこだわりを持つことが大切なファクターで、今の日本チームに必要なことだと考えています。

―― 最後に、パラリンピックに向けて意気込みを聞かせてください。
 もう私たちには、失うものはありません。だからと言って、7-8位決定戦にまわるつもりは毛頭ない。2月には(負傷で戦列を離れていた、DFの三澤)英司も戻ってくるし、もう一度、組織プレーを強化していきます。今までやってきたことさえ発揮できれば、勝てるんです。必ずメダルを持って帰ります。

(MA SPORTS)