東京国際視覚障害者柔道選手権大会2019
日本勢は男子3階級、女子2階級を制す
「東京国際視覚障害者柔道選手権大会2019」が10日、講道館で開催された。日本を含め、世界15カ国から60名以上の選手が参加。東京2020パラリンピック開催まで1年半を切り、その最高峰の舞台を目指す世界の柔道家たちがしのぎを削った。
男子66㎏級決勝で、藤本の巴投げをかわす瀬戸(上)
男子66㎏級は19歳・瀬戸が頂点に!
7選手がエントリーした男子66㎏級は、昨年末の全日本選手権で初優勝し、初の日本代表入りを果たした瀬戸勇次郎(福岡教育大)が2試合連続一本勝ちで決勝に進出。相手はパラリンピックを3連覇し、リオ大会でも銅メダルを獲得した藤本聰(徳島視覚支援学校職員)。藤本の巴投げをかわしながら粘る瀬戸だが、4分間でも決着はつかず。だが、ゴールデンスコア方式の延長戦に突入した2分58秒、藤本の足技を瀬戸が返し、見事な一本を奪った。
瀬戸は「決勝はすごく集中できていたし、とても楽しかった」と笑顔を見せつつも、「最後は返し技になってしまった。積極性がまだ足りていないと思うので、鍛えていきたい」。一方、全日本に続き決勝で瀬戸に敗れた藤本は、「全日本からの短期間で強くなっている」とライバルを評価する。また、「彼がいると私も成長できる。いい結果が出せるようこれからも精進したい」と言葉に力を込めた。
男子73㎏級を制した永井(左から2人目)は「東京に向けて、課題を一つひとつクリアしていきたい」
男子73㎏級は永井崇匡(学習院大)が制した。初戦は男子66㎏級で世界ランク5位のカザフスタンの選手相手に粘りを見せ、ゴールデンスコアで勝利。決勝はフランス人選手との対戦で、寝技に持ち込み崩れ上四方固めで一本勝ちした。永井は「優勝は嬉しいけれど、取り組んできた小内刈りから相手を崩すことができなかった。東京パラにつなげるためにも、なぜできなかったかをもう一回考えて足技を磨いていきたい」と話し、さらなる成長を誓っていた。
男子100㎏超級は正木健人(エイベックス)が優勝した。今回は参加選手が少なく1試合のみだったが、世界では競技人口が増え、選手層が厚くなってきているといい、「海外勢のパワーに負けない体幹や技の強さが必要。強い選手としっかり稽古を積み重ねていきたい」と語った。
女子は52㎏級で石井、57㎏級で廣瀬が優勝!
女子52㎏級は石井が優勝。決勝ではゴールデンスコアに突入する激闘を制した
2選手がエントリーした女子57㎏級は、廣瀬順子(伊藤忠丸紅鉄鋼)がインドネシア人選手に、試合開始9秒で大外刈りで一本勝ち。世界ランク1位のチェリク・ツェイネ(トルコ)がケガのため不出場となり、廣瀬との対戦は次回以降に持ち越された。東京パラの頂点を見据える廣瀬にとっては、必ず倒さなければならない相手だけに、「次に対戦する時にしっかり勝ちたい」と話し、前を見据えた。
女子52㎏級はリーグ戦2勝とした石井亜弧(三井住友海上あいおい生命)が優勝。世界ランク3位のカナダ人選手との2回戦は、ゴールデンスコアの4分を過ぎても決着がつかない死闘に。互いに体力を消耗するなか、石井が一瞬の隙をついて相手の体勢を崩すと、歯を食いしばって抑え込み、勝利をつかんだ。寝技はもともと苦手という石井は、「粘り強さを発揮でき、自信になった。これからは寝技でも積極的になれるよう強化していきたい」と笑顔を見せた。
東京パラに向け、さらなる成長に期待
リオパラリンピックで10個のメダルを獲得した強豪ウズベキスタンは参加していないものの、東京大会を目指す世界のトップ選手が集結した今大会。そのなかで日本勢は、男子3階級、女子2階級を制した。男子日本代表の遠藤義安監督は、「決して満足する結果ではないが、瀬戸など若手が伸びてきてベテランも頑張った」とコメント。「東京大会まで1年半を切ったなかで、次へのステップにはなったと思う」と振り返った。
5月にはIBSA(国際視覚障害者スポーツ連盟)公認のグランプリ大会(アゼルバイジャン)の開催が予定されている。ここでも日本勢の奮起に期待したい。
(MA SPORTS)