ITTF・PTTジャパンオープン2019東京大会
立位シングルスで男子の垣田、女子の友野が優勝!
「ITTF・PTTジャパンオープン2019東京大会」が8月1日から3日間にわたり、東京都の港区スポーツセンターで行われた。男女個人戦と団体戦が実施され、個人戦シングルスでは金メダルを獲得した男子立位クラス10の垣田斉明(八代市役所)、女子立位クラス8の友野有理(日体大)を含め、14選手が表彰台に上った。
個人戦では7年ぶりとなる優勝を果たした垣田斉明
垣田は岩渕と組んだ団体戦でも銀メダル獲得
日本初開催のパラ卓球国際大会とあって、日本人選手のタイトル奪取への意気込みは高かった。そのなかで、垣田は岩渕幸洋(クラス9/協和キリン)と組んだ団体戦でも銀メダルを獲得し、存在感を示した。シングルスでは予選リーグを2位で通過した垣田。準決勝で世界ランク10位のK.デイベル(イギリス)にフルゲームの末に競り勝ち、決勝では予選リーグで敗れたB.シラパコン(タイ)を3-1で撃破。見事リベンジを果たして優勝を掴み、「技術面と戦術面ともに向上させて必ず東京パラに出たい」と、力強く話した。
団体戦はクラス9と10のコンバインドで行われ、パートナーの岩渕は第1シングルスで障害の軽いクラス10の選手に勝利した。岩渕は個人戦では3位に留まったが、東京2020パラリンピックでは個人戦・団体戦ともにメダル獲得を目標に掲げており、さらなる強化を誓っていた。
また、女子の友野は19歳でパラ卓球界のホープ。決勝では、リオパラリンピック銅メダリストのJ.メディナ(フィリピン)と対戦。得意のラリーに持ち込んで主導権を握り、3-1で勝利した。現在の世界ランクは13位で「東京パラはギリギリのところ」と友野。「東京パラ出場が目標ではなく、メダル獲得なので、そこに行くためにしっかり準備して戦っていきたい」と、言葉に力を込めた。
車いすクラスでは71歳の別所が準V
女子車いすクラス5の別所キミヱ(ドマーニ卓球クラブ)は、個人戦決勝リーグで2連勝とし、最終戦でリオ銅メダルのY.ジョン(韓国)に挑んだが、随所で厳しいコースを突かれ、1-3で敗れた。昨年は交通事故に遭うなど不運が続いたが、リハビリを続けて今年に入って復帰。先月のアジア選手権でも世界1位の中国に敗れるなどして表彰台を逃したものの、「自分にはまだまだやることがあるとわかった」と語っており、72歳で迎える来年の東京2020パラリンピックへの出場に意欲を見せていた。
最終戦では敗れたが、「次につながる負けだった。楽しかった」と語った別所
車いすクラスの新井卓将監督は、男女あわせて車いすの最上位の成績をおさめた別所を評価。「選手として意識が非常に高い。卓球に真摯に向かう姿勢は、若手はもちろん、健常者も見習ってほしい。やりたいことが膨らんで練習のしすぎにならないよう、うまく調整していければ」と話す。
また、昨年のアジアパラ競技大会に外部コーチとして帯同した時吉佑一氏が、現在は立位クラスの監督を務める。日本代表は今年4月から新井・時吉両監督の指導体制で本格的に強化に取り組み始めており、岩渕は「力を抜いてボールを飛ばさないなど、パラ卓球ならでは技術や戦術の選び方を教わり、すごさを実感している」と話し、垣田は「自分は安定志向のプレースタイルだが、“リスクを持ったプレーをしたほうがいい”と言われ、その結果、今大会個人戦で7年ぶりの優勝を果たすことができた」と語るなど、信頼関係を築いているようだった。
女子知的の伊藤(右)は櫨山七菜子と組んだ団体戦でも銀メダルを獲得
パラでの活躍が期待される知的障がいの選手たち
世界のトップランカーが集結した知的障がいのクラス11では、女子シングルスで古川佳奈美(博多卓球クラブ)と伊藤槙紀(ひなり)が3位に入った。優勝は逃したものの、伊藤は予選リーグで、古川は準々決勝でそれぞれリオ金メダルのN.コスミナ(ウクライナ)を下しており、強化の成果を見せた。
また、男子の竹守彪(TOMAX)と加藤耕也(あいおいニッセイ同和損害保険)も銅メダルを獲得。団体戦でも男女あわせて4つのメダルを手にした。
夏季パラリンピックで知的障がい者が参加できる競技は、陸上と水泳、そして卓球の3競技。女子の田中敏裕監督は「日本で知的卓球を知り、理解してもらううえでも有意義な大会になった。知的障がい者がスポーツをする喜びを知ってもらうためにも、さらに結果を出せるよう頑張っていきたい」と語った。
(MA SPORTS)