2019 IBSA ゴールボール
アジアパシフィック選手権大会 in 千葉
女子日本代表が3連覇達成! 男子日本代表も銅メダル獲得
国際視覚障害者スポーツ連盟(IBSA)が主催し、2年に一度開かれる公式戦「2019 IBSA ゴールボール アジアパシフィック選手権大会 in 千葉」が12月5日から10日まで、千葉ポートアリーナで開かれた。男子7カ国、女子6カ国が参加。女子日本代表は決勝で中国を2-1で破って3連覇を達成した。男子日本代表は3位決定戦で韓国を11-5で下し、前回大会に続き、銅メダルを獲得した。
大会3連覇達成に攻守で貢献した女子代表キャプテンの天摩由貴
表彰式で集合写真におさまる女子代表メンバーら
予選で敗れた中国に決勝でリベンジ!
世界ランキング4位の女子日本代表にとって、最大のライバルとなるのが同2位の中国。同じアジアで対戦回数も多く、手の内を知り尽くした相手だ。その中国は予選リーグから準決勝までの6試合を全勝し、ファイナルに進出。一方の日本は、予選リーグでこの中国に0-2で敗れており、リベンジを誓って決勝に臨んだ。
「中国の攻撃力は随一。日本が先に点を取って流れをつかみたい」とキャプテンの天摩由貴が話していた通り、試合開始13秒で天摩が相手ゴールの左隅に得点を決める好スタートを切る。さらに、その3分後に欠端瑛子が追加点を入れ、リードを広げた。前半残り3分20秒で、中国に速攻を決められ1点差に追いつかれるが、その後は集中力をキープしてゴールを死守。そのまま2-1で逃げ切り、大会3連覇を果たした。
試合終了後、歓喜の輪の中心にいた欠端は、「リオパラリンピックで中国に負けてメダルを逃した悔しさがあるから、今回は絶対に勝ちたいという思いがあった。個人的には大会序盤は調子が出なかったけれど、最後に得点を決めて勝つことができたので良かった」と笑顔を見せ、天摩は「力強い投球をする中国選手を想定して、練習では男子に投げてもらうなど対策をしてきた。その積み重ねが結果につながった」と話し、来年に迫った東京2020パラリンピックに向け自信を深めていた。
男子の金子、パラに向けて「チームのさらなる成長を」
3位決定戦で相手のボールを止める男子代表(左から山口凌河、川嶋悠太、金子和也)
男子日本代表は予選リーグを4勝2敗とし、3位で準決勝に進出。ファイナルを目指したが、イランに逆転負けを喫し、悔し涙を流した。気持ちを切り替えて臨んだ3位決定戦の韓国戦では、試合開始から1分の間に2失点と追いかける展開になったが、選手は落ち着いていた。「俺が点を取ってやる」と考えていたという金子和也が、まずはバウンドボールで得点を決める。その1分後には山口凌河が同点弾を入れ、さらにそのあと、この金子と山口がそれぞれ2点ずつマーク。この前半の貯金が功を奏し、6点差で勝利した。
江黒直樹ヘッドコーチは、「入りに失敗したけれど、はやい段階で追いつけた。いままで積み上げてきたものが発揮できた大会だったし、課題も見えた」と振り返り、「来年の大舞台に向けてさらに強いチームをみなさんに見せられるようにしたい」と、言葉に力を込めた。
攻守で活躍した金子は、「パラではレベルが数段階上がる。チームの成長は不可欠だし、自分はポイントゲッターだと思っているので、ここぞという場面で投球のギアを上げて、相手が手をつけられないくらいのボールを投げられるようにしたい」と話し、さらなる攻撃力アップを誓う。
男子代表は開催国枠で出場する東京大会がパラリンピック初出場となる。そこに向けて、長期間にわたって強化を図り、チームは成長してきた。ウイングの宮食行次は、「“一体感”が今のチームの魅力」と言い切る。今大会の代表6選手の平均年齢は22.8歳と若く、コートの内外でなんでも言いあえる仲だといい、「一緒に風呂に入り、試合前のロッカールームではテーマソングを歌って盛り上げる。僕たちもW杯ラグビー日本代表のように“ONE TEAM”として戦っていきたい」と話し、前を向いていた。
なお、日本ゴールボール協会は今大会を東京2020パラリンピックの日本代表選考大会のひとつに指定しており、大会後に男女それぞれ数名の内定者を選考するとしている。
東京パラ出場権は男女とも中国が獲得
今大会は、8カ月後に迫った東京2020パラリンピックのアジアパシフィック地区の予選会を兼ねて実施。男子は優勝国である中国が東京行き切符を手にした。すでに開催国枠での出場がすでに決まっている日本が優勝した場合は、2 位の国がアジアパシフィック地区からの出場権を獲得すると規定されており、女子も準優勝の中国が地域代表として出場権を獲得した。
男子中国代表のイーンコーチは大会後、「出場権を獲得でき、とても興奮している。日本は我々にとって運のよい場所。来年の東京パラを楽しみにしている」と話していた。
(MA SPORTS)