パラスポーツ最高峰を目指す姿を追いかける最前線レポート--Next Stage--企画・取材:MA SPORTS

<<一覧に戻る

2020年12月23日

第6回DAIHATSU日本障がい者バドミントン選手権大会

男子車いすWH1は村山が初優勝! 山崎、藤原は6連覇達成

「第6回DAIHATSU日本障がい者バドミントン選手権大会」が12月19日から2日間にわたり、滋賀県草津市のYMITアリーナで開催された。新型コロナウイルス感染拡大防止のため、全クラスともシングルスのみを実施。2020年の締めくくりにして今季初の公式戦とあって全国から選手がエントリーし、熱い戦いを繰り広げた。

男子WH1決勝で長島理を下し、日本選手権初優勝を果たした村山浩

王者・長島をついに撃破、村山「とてもうれしい」

男子車いすWH1の決勝は、長島理(LIXIL)と村山浩(SMBCグリーンサービス)の対戦となり、村山が2-0(21-13,21-10)で勝利した。この数年、あと一歩のところで優勝を逃していた村山。「ずっと追いかけてきた」という第一人者の長島をついに破り、「うれしい」と勝利を素直に喜んだ。

得意のハイクリアでコートの奥へと攻め込む村山だが、序盤はバックアウトが続き、長島にリードを許す展開に。だが、ここから高い修正能力を見せ、前へ後ろへと王者を揺さぶった。第2ゲームは長島のサーブミスなどもあり、村山が連続得点に成功。最後まで主導権を握り、勝ち切った。

今年2月のペルー国際以来の大会。コロナ禍で練習ができない期間は、競技の考え方や弱点を洗いなおす作業をしたという村山。「これまで遠征続きでできなかった分析に時間を費やせたことがこの日の決勝でも生きた」と、手ごたえを語る。

WH2の梶原大暉(日体大)と組むダブルスでも、東京2020パラリンピック出場を争う世界ランキングで上位につける。目指すのはこの大舞台での単複優勝。「金メダルを獲って、パラバドミントンの魅力を世に知らしめたい」と、全日本王者としての決意を新たにしていた。

軽快なフットワークと攻撃的なプレーで男子SU5+を制した今井大湧

今井は5度目の優勝「自分のパフォーマンスが出せた」

男子上肢障害SU5+は、今井大湧(日体大)が4年連続5度目の優勝を果たした。第1回大会はインターハイ出場を目指していた高校2年の時に周囲の勧めで初出場し、いきなり頂点に立った。急に追われる立場となり戸惑ったこともあるが、バドミントンへの情熱は変わらず日体大に進学。名門校の名にふさわしい実力者ぞろいの環境に身を置き、厳しい練習を積んできた。「大学名を背負って出られる最後の大会だった。優勝できてうれしい」と、4年間で培った実力を発揮できたことに安堵の表情を見せていた。

同立位SL3の藤原大輔(ダイハツ工業)は1次リーグから決勝まですべてストレート勝ちで、第1回大会から6連覇を達成。同SL4の山本勝洋は3連覇、同SH6は経験豊富な畠山洋平(Tポイント・ジャパン)が制した。同車いすWH2は、伸び盛りの梶原が昨年の世界選手権銅メダリストの渡辺敦也(アキレス)を下し、2連覇を果たした。

男子知的障害ID7は中野林太郎が5連覇を飾り、女子は昨年2位の花澤杏奈が制した。

世界女王・里見紗李奈は4試合すべてでストレート勝ちをおさめた

世界女王・里見は、進化した姿を披露

東京パラでも活躍が期待される女子車いすWH1の里見紗李奈(NTT都市開発)は、4試合すべてでストレート勝ちをおさめ、連覇達成に「ホッとしている」と笑顔を見せた。福家育美(ダイハツ工業)との決勝戦は緊張からか、序盤は単調な攻撃パターンになった。そこで、相手の動きを見て展開することを心掛け、徐々に落ち着きを取り戻した里見。「“相手を見る”は、戦術を思い出すキーワードのひとつ。後半は広い視野でラリーができた。満足している」と振り返る。

昨年、パラバドミントンを始めて3年で世界選手権を制した。負けず嫌いの性格も相まって、これまでは試合が拮抗すると決め急ぐ場面もあったが、経験を積む中で、「格好悪くても、最終的に勝てばいい」とメンタルに変化も生まれた。大会出場は前回の日本選手権以来、1年ぶり。「大会前は久しぶりの試合に不安な気持ちもあったけれど、成長を実感できた。今の自分がどれだけ通用するのか、はやく海外の選手と試合がしたい」と語った。

同WH2の山崎悠麻(NTT都市開発)は終始、安定したプレーで試合を構築して6連覇を達成。2人がエントリーした女子立位SL3は、伊藤則子(中日新聞社)が山田麻美(LAVA International)を破って優勝。伊藤はコロナ禍を経て再開した強化合宿の初日に健足側の左足首をねんざ。リハビリと同時に、身体や筋肉の使い方の見直しと徹底した食事管理に注力し、回復に努めた。試合は1試合のみだったが、「無事にこの日を迎え、また勝つことができてホッとしている」と、笑顔を見せていた。

同SL4は藤野遥(さざなみ福祉会)が、同SU5+は鈴木亜弥子(七十七銀行)が、それぞれ制した。

(MA SPORTS)