北京2022パラリンピック冬季競技大会
日本は計7個のメダルを獲得! 限界に挑んだ10日間
雪と氷の祭典、北京2022パラリンピック冬季競技大会は10日間にわたって熱戦が繰り広げられ、3月13日に閉幕した。アルペンスキー、バイアスロン、クロスカントリースキー、パラスノーボード、パラアイスホッケー、車いすカーリングの6競技78種目が実施され、日本は出場した4競技で金4、銀1、銅2の計7個のメダルを獲得し、国・地域別ランキングは9位だった。。
競技初日の3月5日、滑降女子座位で金メダルを獲得し、最高のスタートを切った村岡
主将の村岡が金メダル獲得!
日本代表選手団の金メダル第1号は、主将の村岡桃佳(トヨタ自動車)だった。アルペンスキー女子座位で5種目にエントリーした村岡は、初戦の滑降で難コースを攻略して、ライバルのアナレナ・フォルスター(ドイツ)を破って優勝。6日のスーパー大回転も制すると、翌日のスーパー複合で2位。さらに技術系種目の大回転でも金メダルを獲得し、最終種目の回転は5位入賞と、大車輪の活躍で日本代表選手団をけん引した。
村岡は前回の平昌大会後に陸上競技への挑戦を表明。昨夏の東京2020パラリンピックでは女子100m(T54)で6位入賞を果たした。陸上で鍛えた体幹は、スキーのターンの安定性やキレの良さにつながった。「夏冬二刀流」は、集大成と位置づけた北京で結実した。
アルペンスキーでは、パラリンピック6大会連続出場の森井大輝(トヨタ自動車)が男子座位の滑降とスーパー大回転でそれぞれ銅メダルを獲得。悲願の金メダルには届かなかったが、通算メダル獲得数を7に伸ばした。
川除は2度目のパラリンピックで初めての金メダル。メダルセレモニーで晴れやかな表情を見せた
新エース・川除が得意種目を制す
旗手を務めた21歳の川除大輝(日立ソリューションズジュニアスキークラブ)は、ノルディックスキー距離の20キロクラシカル男子立位を制した。ストックを持たずに大きく腕を振って滑るピッチ走法で序盤から先頭に立ち、最後まで後続を寄せつけない圧巻勝利。2度目のパラリンピックで金メダルを獲得した。1998年長野大会から連続出場し、これまでに3個の金メダルを獲得している新田佳浩(日立ソリューションズ)に憧れ、背中を追いかけ、強化に励んできた。17歳で初出場した平昌大会は個人種目で9位が最高で、この4年間の成長を証明した。
パラスノーボードでは、1種目目のスノーボードクロスで6人全員が予選を突破し、決勝ラウンドに進出。予想以上に上がった気温と黄砂による雪質の変化を現地で確認すると、チームで情報を共有して対策を練って乗り越えた。この種目で5位に入ったキャプテンの小栗大地(三進化学工業)は、2種目目のバンクドスラロームでも7位入賞。大会後はさらなる成長を誓い、4年後の挑戦を口にした。
パラスノーボード2種目で8位入賞を果たした30歳の市川。今後の成長が期待される選手のひとりだ
次につなぐ滑りを見せた初出場選手たち
初出場の選手たちも、それぞれ力を出し切った。日本代表選手団最年少の18歳の岩本美歌(北海道エネルギーパラスキージュニアチーム)は、もっとも得意とするノルディックスキー距離のスプリント・フリー女子立位で予選15位。準決勝に進めなかったが、世界を経験し、「次につなげたい」と前を向いた。アルペンスキー男子立位の青木大和(EXx)は、中学と高校でスキー部に所属。20歳の時に脊髄を損傷し、パラアルペンスキーを始めて2年でパラリンピック出場を叶えた。北京大会ではコースアウトする選手が多い中、技術系2種目で完走した。また、パラスノーボードの市川貴仁(エレマテック)は、比較的軽い下肢障害LL2クラスのスノーボードクロスとバンクドスラロームでそれぞれ8位入賞を果たし、存在感を見せた。
なお、今大会はロシアのウクライナ侵攻を受け、開幕前日の3日にロシアと同盟国ベラルーシの選手団は除外され、参加国・地域は46となった。開催国の中国は、金18、銀20、銅23の計61個のメダルを獲得し、平昌大会の車いすカーリングの金メダル1個から大躍進を遂げた。
(MA SPORTS)