2022ワールドパラトライアスロンシリーズ横浜大会
ヨコハマに世界のパラトライアスリートが集結!
「2022ワールドパラトライアスロンシリーズ横浜大会」のエリートの部が14日、横浜市の山下公園をスタート・フィニッシュとする特設会場で行われた。大陸をまたいで転戦し、年間を通じた合計ポイント数でチャンピオンを決めるトライアスロンの世界最高峰の大会シリーズのひとつ。今大会は東京2020パラリンピックの金メダリストらを含むトップパラトライアスリートが集結した。日本勢は男子7人が参加。日本の女子の参加はなかった。
左腕一本で操作するバイクで追い上げる宇田
東京パラ銀メダルの宇田が3位!
早朝から雨が降り、一部コースを変更して朝6時50分にスタートしたエリートパラトライアスロン。男子PTS4クラスには、昨年の東京2020パラリンピックで銀メダルを獲得した宇田秀生(NTT東日本・NTT西日本)が登場。隻腕の宇田は左腕一本でスイムを泳ぎ、8人中5位と出遅れたものの、続くバイクでトップタイムをマーク。ランでも猛追して順位を上げ、表彰台をキープした。パラリンピック後は休息を取り、まだ状態は戻っていないと話していたが、最後まで力強いパフォーマンスを発揮し、存在感を見せた。
優勝は、東京大会金メダリストのアレクシ・アンカンカン(フランス)。新型コロナウイルス感染拡大のため中止になった2020年大会をはさみ、4連覇を達成した。宇田はこの世界王者とのレースを楽しみにしていたといい、「一緒にレースができてよかった」と笑顔を見せた。また、3年ぶりの有観客開催となり、「それが一番うれしかった。頑張って走ることができた」と振り返り、沿道の観客の存在の大きさを改めて実感したようだった。荒力(大分県トライアスロン連合)は7位だった。
トップと2秒差で2位に入った木村。表彰台では晴れやかな笑顔を見せた
木村は銀メダル獲得、「夏冬二刀流」の佐藤は6位
男子PTWCクラスは4人がエントリー。木村潤平(Challenge Active Foundation・サンフラワー・A)は、トップ争いを演じるも、最後のランでオーストラリアの選手に逆転されて2位に。ゴール後に「くそー!」と叫び、「東京パラに続いて日本で開催される大会なので、いいところを見せたかった」と悔しがった。6位だった東京大会後は休息を取っていたこともあって、今季はレース勘を取り戻すことが課題だといい、「一つひとつのレースを楽しみながら取り組んでいく。その先に、パリパラリンピックがあればいいと思う」と話した。
また、男子PTS5クラスの佐藤圭一(セールスフォース・ドットコム)は、今年3月の北京2022冬季パラリンピックにバイアスロン日本代表として出場し、帰国後の3日間の隔離のあと、すぐにトライアスロンに移行。約1カ月間の練習を経て今大会に臨み、8人中6位に入った。今後もスキーと並行してトレーニングを行っていくとし、トライアスロンについては「このクラスは3種目すべてをトップレベルにそろえないとメダル争いは厳しい。でも、伸びしろは感じているので、今後に期待して練習していきたい」と話し、前を向いた。梶鉄輝(JPF)は8位だった。
水野泉之介ガイドと息の合ったパフォーマンスを見せた山田(右)
視覚障がいクラスは成長見せる山田が5位
男子視覚障がいPTVIクラスの山田陽介(ジール)は、集中して取り組んできたフィジカル強化が結果につながり、過去最高の5位をマーク。「いま出せる力は全部出せたと思う。満足いくレースだった」と手ごたえを感じた様子だった。また、昨年はエイジの部を制した樫木亮太(大阪府トライアスロン協会)が、今大会はエリートの部に初出場。最下位の8位だったものの、「あこがれのエリートに出られてすごく嬉しい。精神的な面は安定してきたので、これから技術面でもっとトレーニングを積んで、先を目指していきたい」とコメントし、充実した表情を見せていた。
なお、今大会はウクライナ選手団に対して、世界トライアスロンシリーズ横浜大会組織委員会が選手とコーチの渡航費と大会期間中の滞在費などを支援し、来日が実現した。男子PTVIクラスのアナトリー・バルフォロミエフは、「トライアスロンの取り組みを支援していただいていること、またこうして出場できたことに感謝している」と語った。
(MA SPORTS)