パラスポーツ最高峰を目指す姿を追いかける最前線レポート--Next Stage--企画・取材:MA SPORTS

<<一覧に戻る

2023年2月13日

第20回 アクサ ブレイブカップ
ブラインドサッカー日本選手権

パペレシアル品川が初優勝!

全国のブラインドサッカーチームの頂点を決める「第20回 アクサ ブレイブカップ ブラインドサッカー日本選手権」は11日、町田市立総合体育館で決勝戦が行われ、パペレシアル品川が1-0でたまハッサーズを破り、日本一の栄冠を手にした。決勝戦に先立ち行われた3位決定戦は、昨年優勝のfree bird mejirodaiが0-0からPK戦の末にコルジャ仙台ブラインドサッカークラブを下した。

2019年のチーム発足後、初めて決勝に進出し、見事頂点に立ったパペレシアル品川

20回の節目の大会に、最多タイの22チームが参戦

2003年の第1回大会は、出場4チームでスタートした日本選手権。20回の節目を迎えた今大会は、過去最多タイの22チームが参戦。女子選手や晴眼の選手の参加も増え、全体的に競技レベルが向上している。そんななか、昨年12月の予選ラウンド(成田市、堺市)を勝ち上がった6チームとワイルドカード2チームの計8チームが、今年1月の準決勝ラウンド(浜松市)を戦い、決勝戦および3位決定戦の対戦カードが決まった。

川村がMVP! 攻めの姿勢を貫き勝利に貢献

決勝戦は、過去4度の優勝を誇るたまハッサーズと、2019年設立のパペレシアル品川の戦いに。試合序盤、パペレシアル品川の森田翼のシュートはたまハッサーズの守護神・佐藤大介の右手にはじかれ、ゴールポストに当たって得点はならず。続いて、エースの川村怜が右足でシュートを放つも、再びGK佐藤にセービングされた。それでも攻めの姿勢を貫くパペレシアル品川は、相手の厳しいディフェンスを幾度とかいくぐってフィニッシュまで持ち込む。そして前半13分、川村が右サイドを得意のドリブルで抜け出し、ゴールの左サイドに突き刺さる強烈なシュートで先制点を挙げ、試合を優位に運んだ。

相手のディフェンダーに囲まれながらも、シュートを狙うパペレシアル品川の川村(中央)

対するたまハッサーズは前半11分、黒田智成が左のコーナーキックから見せ場を作る。右足でボールをふわりと高く上げて、相手の壁の後ろに落とすと、自ら壁の後ろに回り込んでヘディングでボールをトラップし、ゴール前に攻め込んだ。結果的にミートはできなかったが、ベテランらしい頭脳プレーに会場は大いに沸いた。後半は両チームとも無得点に終わり、パペレシアル品川が初優勝を飾った。

得点王と大会MVPを受賞したパペレシアル品川の川村は、「20回という節目の大会で優勝できて本当に嬉しい。ブラインドサッカーが盛んな品川区でチームを作りたいという想いで2019年に3人で創設し、日本一を目指して取り組んできた。サポーターや選手が増えて、それぞれの役割を果たして優勝できた。みんなに感謝したい」と話し、笑顔を見せていた。

緊迫のPK戦を制したのは、free bird mejirodai

3位決定戦は、筑波大学附属視覚特別支援学校に在籍する学生やOBを中心にメンバーを構成し、複数の日本代表強化指定選手を擁するfree bird mejirodaiが、豊富な運動量で試合の主導権を握る展開に。前半に途中投入された鳥居健人が巧みなドリブルで前線への突破を図るなど存在感を示すが、ゴールネットを揺らすことはできず、試合は0-0のままPK戦へともつれ込んだ。

free bird mejirodaiの永盛が左足で鋭いシュートを決め、PK戦を制した

PK戦はコルジャ仙台ブラインドサッカークラブの先攻でスタートするが、両チームとも失敗。サドンデスでもなかなか決着がつかないなか、free bird mejirodaiは10人目のキッカー、キャプテンの永盛楓人が左足のアウトサイドで低い弾道のシュートを繰り出し、これがゴールの左下に決まり、勝利を手繰り寄せた。「得意なコースに思いきり蹴ろうと狙っていた」と永盛。「過去に自分がPKを失敗して負けた試合もあるので、やっといいところを見せられた」と続け、息を弾ませた。

また、日本代表強化指定選手に選ばれている鳥居は「決勝の舞台に立てず悔しい」と、連覇を逃した率直な想いを口にし、「クラブチームの数が増えて競争が激しくなり、全体のレベルが上がっていると感じる」とコメント。「そうして日本代表もどんどん強くなって世界に通用するチームを目指している。自分もその一部を担う選手になりたい」と話し、前を向いた。

(MA SPORTS)