杭州2022アジアパラ競技大会
日本は20競技に出場し、150個のメダルを獲得!
アジアのパラスポーツの祭典「杭州2022アジアパラ競技大会」が10月28日に閉幕した。44カ国・地域から選手約3,000人が参加し、22競技で頂点を争った。日本代表はチェスと囲碁を除く20競技に出場し、17競技でメダルを獲得。最終的に金42、銀49、銅59の計150個のメダルを獲得した。
パラバドミントンの梶原は、強敵を次々と倒し、大会初出場で初優勝を成し遂げた
日本の金メダル獲得数は、中国、イランについで3位
アジアが世界を席巻するパラバドミントンは、東京2020パラリンピック(以下、東京2020大会)覇者の車いす女子WH1の里見紗李奈(NTT都市開発)と男子WH2の梶原大暉(日体大)がそれぞれライバルを下し、大会初優勝。「レベルが高いアジアのタイトルは絶対に獲りたかった。すごく嬉しい」と、二人は声を弾ませた。
陸上は計9個の金メダルを獲得。大島健吾(名古屋学院大)が男子100m(T64)、井谷俊介(SMBC日興証券)が男子200m(T64)をそれぞれアジア新記録で制し、車いすでは伊藤竜也(新日本工業)が男子100m(T52)で優勝。また、高桑早生(NTT東日本)が女子100m(T63/64)で頂点に立つなど、存在感を発揮した。水泳は、チーム最年長36歳の鈴木孝幸(GOLDWIN)が得意の男子自由形(S4)2種目で優勝し、チーム最年少15歳の川渕大耀(横浜市立新田中)も男子400m自由形(S9)の金メダルを含む4個のメダルを獲得するなど、世代を超えて活躍した。
自転車は、トラック種目の男子3000m個人追い抜きC2は川本翔大(大和産業)、同C3は藤田征樹(藤建設)が優勝。藤田はロードタイムトライアルC1-3も制し、2冠を達成した。柔道女子57㎏級(J2)の廣瀬順子(SMBC日興証券)はすべての試合で一本勝ちをおさめ、「今まで勝てなかった相手に勝ち、オール一本勝ちで優勝できてうれしい」とコメントした。
団体競技では、車いすバスケットボール男子代表が決勝に臨み、接戦の末に韓国を47-45で下し、優勝を果たした。女子代表は銀メダルだった。ゴールボールは男女とも決勝で中国に敗れて準優勝。シッティングバレーボールは女子代表が3位に入った。車いすフェンシングは、男子フルーレ団体で銅メダルを獲得。男子個人種目での表彰台は逃したが、チーム力の高さをアピールした。
3競技でパリの出場権を獲得
車いすテニス男子シングルス決勝で、眞田卓(TOPPAN)との日本人を制し優勝を果たした小田
今大会は一部競技でパリ2024パラリンピックの出場権を争った。車いすテニスは、男子と女子のシングルス優勝者にダイレクトエントリー枠が与えられるため、男子を制した小田凱人(東海理化)、女子を制した上地結衣(三井住友銀行)がパリの出場権を獲得した。世界ランキング1位の小田はパラリンピック初出場。上地は4度目の出場で初制覇を狙う。
射撃は水田光夏(白寿生化学研究所)が混合エアライフル伏射SH2で3位に入り、また混合エアライフル伏射SH1では岡田和也(サイネオス・ヘルス・コマーシャル)が決勝進出を逃したものの、パリの出場枠を獲得していない対象選手のなかで最上位となったため、日本がパリの出場枠「2」を獲得した。
さらに、各クラスのシングルス優勝者にパリの出場権が与えられる卓球は、男子クラス7の八木克勝(琉球アスティーダ)が準決勝で東京2020大会金メダリストの中国の選手をストレートで破るなど快進撃を続け、見事頂点に立った。女子は、昨年国際大会デビューを果たしたばかりのクラス11の和田なつき(だいこん畑)が、決勝で東京2020大会3位の香港の選手に逆転勝ちをおさめ、八木とともにパリの代表に内定した。和田は「パリで金を獲れるように、日々練習を頑張りたい」と、さらなる飛躍を誓った。
J-STARプロジェクト生も大活躍
金メダル3個を含む、5個のメダルを獲得した水泳の木下。閉会式では旗手を務めた
タレント発掘チャレンジ「J-STARプロジェクト」出身の18人のアスリートも活躍した。水泳の17歳・木下あいら(三菱商事)は女子200自由形(S14)など3種目で優勝、同100mバタフライ(S14)など2種目で2位に入り、日本人勢トップのマルチメダリストとなった。木下は「メインとする種目で無事に金メダルを取ることができた」と喜んだ。松永琴寧(花咲徳栄高)は同100m背泳ぎ(S10)で中国の2選手に続いてゴールし、銅メダルを獲得。男子100m背泳ぎ(S10)では、17歳の上園温太(須磨学園高)が2位に入る活躍を見せた。
陸上の堀玲那(岡山陸上競技協会)は女子砲丸投(F20)でアジア新記録となる11m93を投げ、金メダルを獲得。近藤元(摂南大)は大会最終日に男子走幅跳(T63)で6m16を跳んで大会新記録をマークし、頂点に立った。石山大輝(順天堂大)は男子100m(T12)と男子走幅跳(T12)の2種目で3位。三本木優也(京都教育大)と小野寺萌恵(あすなろ屋産直羽場店)もそれぞれ表彰台に乗るなど、陸上競技のメダルラッシュの核となった。
カヌーでは、小松沙季(電通デジタル)が女子バーシングル200m(VL2)で3位に入り、ゴールボール男子ではチーム最年少19歳の鳥居陽生(国立障害者リハビリテーションセンター)が銀メダル獲得に貢献した。
日本代表選手団の井田朋宏団長は、「次世代を担う選手の活躍が光る大会だった。この経験を活かしアスリートとして、また人として、さらに成長してくれることを期待します」と評価した。
次回のアジアパラ競技大会は、3年後の2026年に愛知県と名古屋市で共催される。
(MA SPORTS)