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東アジアで初開催！ 世界の柔道家が東京に集結

視覚障害者柔道の国際大会「IBSA 柔道グランプリ大会 東京2023」が4日から2日間にわたり、東京体育館で開かれた。東アジアで開催される初のグランプリ大会で、パリ2024パラリンピックのランキングポイント付与対象大会のひとつ。43カ国から188人のトップ選手がエントリーし、ハイレベルな戦いが繰り広げられた。

優勝の瀬戸「パリでも金メダルを獲りたい」

IBSA（国際視覚障害者スポーツ連盟）は2022年1月に視覚障害者柔道の国際クラス分けを変更。これまでは体重階級別の男子7階級、女子6階級で実施していたが、男女ともJ1（全盲）とJ2（弱視）の2クラスに分かれ、それぞれ4つの体重階級に統合されている。

東京2020パラリンピック（以下、東京2020大会）では男子66㎏級で銅メダルを獲得した瀬戸勇次郎（九星飲料工業）は、同73㎏級（J2）に出場。キレのある背負投げを武器に、東京2020大会の同73㎏級を制したフェルズ・サイドフ（ウズベキスタン）、パリランキング1位のカザフスタン人選手ら強敵を破り、優勝を果たした。

この73㎏級は、81㎏級から階級変更した選手も多く、国際クラス分け変更後の瀬戸は体重だけでなく体格・体力面の不足を痛感。懸命にフィジカル強化に取り組んできたが、昨年11月の世界選手権、今年8月のIBSAワールドゲームズはともに初戦敗退と苦しんだ。だが、その後の遠征をキャンセルして、2カ月間にわたってトレーナーの指導のもと、徹底したウエイトトレーニングに着手。身体は一回り大きくなってパワーが増し、10月の杭州2022アジアパラでは表彰台、そして今大会の優勝につながった。瀬戸は「ようやく戦える身体ができた。ここをきっかけに、逆風をひっくり返し、パリでも金メダルを獲りたい」と話し、前を向いた。

半谷はアジアパラに続いて準優勝

女子48㎏級（J1）の半谷静香（トヨタループス）は、初戦を反則勝ち、準決勝をドイツ人選手に上四方固と縦四方固の合わせ技で1本勝ちし、決勝に駒を進めた。相手は10月の杭州2022アジアパラの決勝でも対戦したハイートホン・フサンキジ（キルギス）で、ゴールデンスコアに持ち込む粘りを見せたが、背負投げを返されて敗れた。アジアパラに続いて銀メダルとなった半谷は、「優勝が目標だった。アジアパラの負けを取り返すつもりで臨んだので、ひたすら悔しい」と振り返った。

東京2020大会は「見えなくても勝てることを証明する」ことをテーマに挑み、5位だった。国際クラス分け変更によって弱視の選手と戦うことはなくなり、「全盲の私にとっては有利な状態」でパリを目指してきた。そんななか、昨年5月に右脚の前十字靭帯を痛め、手術を経験。10月に畳に戻り、今年5月の全日本で復帰した。パリの選考レースには出遅れたが、ストイックに稽古に臨み、国際大会は今回で3大会目ながらパリランキングで上位につける。

J1クラスは捨て身技のような技や、立技から寝技への移行も断絶的で、腕力が優位になる場面が多いとされる。半谷は、「J1は独自の進化をするところもある。パリでは絶対に優勝したいので、油断せず戦っていきたい」と、本大会に向けてさらなる強化を誓っていた。

男子の加藤、女子の廣瀬と工藤が銅メダルを獲得

男子73㎏級（J1）には最多の19人がエントリー。そのなかで、パリランキング21位の加藤裕司（伊藤忠丸紅鉄鋼）が1回戦で同6位の選手に一本勝ち。2回戦で同3位の選手に敗れるも、その後の敗者復活戦では同5位と11位に勝利し、そして3位決定戦では同7位のブラジル人選手に大内刈りと内股巻込の合わせ技で一本勝ちと、格上選手を次々に撃破して銅メダルを掴んだ。加藤はもともと男子81㎏級を主戦場としていたが、やはり国際クラス分け変更に伴い、階級を下げて戦っている。国際大会のメダルは「10年ぶりくらい」だといい、「久しぶりのメダルは重いです」と、清々しい表情で話した。

また、女子57㎏級（J2）でも廣瀬順子（SMBC日興証券）と工藤博子（シミックウェル）がともに銅メダルを獲得した。廣瀬はパリランキング4位で現段階ではパラリンピック出場圏内だが、「残りの大会で負けるとすぐにランキングが入れ替わる。ポイントをしっかりと取っていきたい」と語った。工藤は大会1週間前に左手薬指を脱臼していたといい、自分の柔道が積極性に欠けたことを悔やんだ。現在のパリランキングは13位。「相手の引きに負けないよう、パワー強化しているところ。自分の柔道を確立させて、ランキングを上げていきたい」と話し、前を向いた。

（MA SPORTS）