2024 IWBF 女子車いすバスケットボール最終予選
日本代表がパリパラリンピック出場権獲得!
パリ2024パラリンピックの出場権を懸けた「2024 IWBF 女子車いすバスケットボール最終予選」が17日から4日間にわたり、Asueアリーナ大阪で開かれた。勝利したチームが出場権を得る最終日のクロスオーバー戦で日本はオーストラリアと対戦し、50-26で勝利。開催国枠で出場した東京大会に続き、2大会連続9回目となるパラリンピック出場を決めた。
パリ2024パラリンピックの出場権を獲得した女子日本代表
予選リーグ1勝2敗でクロスオーバー戦へ
キャプテンの北田は攻守でチームをけん引した
パリ大会の出場枠は東京大会から減り、男女とも「8」。開催国枠もない。すでに各大陸予選で4チームが出場を決めており、最終予選は残りの「4」枠をドイツ、タイ、アルジェリア、オーストラリア(以上、グループA)、スペイン、フランス、カナダ、日本(以上、グループB)の8カ国が争った。
大会は、まず4チームずつに分けたA・Bそれぞれのグループで総当たり戦の予選を行い、その順位をもとに各グループの1位と4位、2位と3位が対戦するクロスオーバー戦を実施する方式を採用。仮に予選リーグで全敗でも、クロスオーバー戦に勝利すれば出場権獲得となるだけに、その行方に大きな注目が集まった。
日本は予選リーグ初戦でカナダと対戦し、46-81と黒星スタート。2戦目のフランスには55-38と勝利したが、3戦目のスペインには45-64で敗れ、1勝2敗でグループBの3位に。最終日のクロスオーバー戦は、グループAの2位のオーストラリアと対戦することが決まった。
ディフェンスから主導権を握り、快勝!
観客の応援を力に日本は一丸となって戦った
オーストラリアは同じアジアオセアニアゾーンのライバル国のひとつ。これまでに何度も対戦しており、互いに手の内を知り尽くしている相手だ。予選リーグで日本はシュート成功率の低さに課題を残したが、ディフェンス面は徐々に機能。クロスオーバー戦では、高さのあるオーストラリアに対し、序盤からその守備で圧倒した。しぶとく相手にプレッシャーをかけてシュートチャンスの芽を摘むと、第1Qは4得点、第2Qは3得点に抑え、前半を25-7で折り返した。
オフェンス面では、試合開始直後はミスが続いて1分以上得点を奪えなかったが、キャプテンの北田千尋(4.5)のレイアップシュート成功を皮切りに、前半は網本麻里(4.5)のスピードを活かした速攻や、途中出場の清水千浪(3.0)や江口侑里(2.5)らのシュートで得点を重ねることに成功した。
後半はオーストラリアが細かくパスをつないでゴール下へとボールを持ち込むが、日本は徹底してブロック。第3Qは相手の反則で得たフリースローを網本が4本とも確実に決め、また柳本あまね(2.5)も得意の3ポイントシュートを沈め、リードを広げた。第4Qは得点の奪い合いとなるなか、日本は2度のアイムアウトを挟んでリズムを取り戻していく。最後は北田が3ポイントシュートを鮮やかに決め、粘るオーストラリアを突き放した。
試合終了のブザーが鳴り、笑顔と涙で歓喜する日本の選手たち。熱戦を見守った観客からは、大きな拍手が送られた。
試合前ミーティングで「心ひとつ」に
試合後、報道陣の取材に対応した岩野博ヘッドコーチは、「パリ行きのチケットを取ることができて、ほっとしているのが正直なところ」と、胸をなでおろした。また、東京大会銀メダルの日本男子はパリ大会の出場を逃しており、女子への期待がより高まっていただけに、「(ロンドン、リオと)女子がパラに出場できなかった時も男子が道を作ってくれた。彼女たちはそれを途絶えさせてはいけないという責任を持ちながら準備をし、達成してくれた。日本の車いすバスケットボール界にとっても、非常によかったと思う」とコメントした。
攻守でチームをけん引した北田は、試合前の選手ミーティングで、自分以外の全員にハグと声掛けをするよう提案したことを明かす。「心をひとつにして戦おうという気持ちだった。それでクロスオーバー戦は自分たちの強みのディフェンスが機能して、40分を通して相手を苦しめることができた」と振り返る。ただ、日本の得意の形を作りながらロースコアの試合になった点については不満が残るとし、「自分もフィニッシュの確率が上がらなかった。このままではパリでは一勝もできずに終わってしまうという危機感がある。パラリンピックに向けて、このチームでまだまだ成長していきたい」と話し、本番までにさらなるスケールアップを誓っていた。
(MA SPORTS)