ワールドトライアスロンパラシリーズ（2024/横浜）
パリ選考を兼ねた世界シリーズ横浜大会で秦由加子が3位！
パリ2024パラリンピックの選考を兼ねた「ワールドトライアスロンパラシリーズ（2024/横浜）」が11日、横浜市の山下公園をスタート・フィニッシュとする特設会場で行われた。パラランキングのポイント獲得を狙う世界のトップ選手がエントリー。日本勢は男子5人、女子2人が出場し、女子PTS2（運動機能障がい）の秦由加子（キヤノンマーケティングジャパン・マーズフラッグ・ブリヂストン）が3位に入った。
沿道の声援に応えながら笑顔でゴールする秦
脚手術乗り越えた秦、パリへ視界良好
女子PTS2は5人がエントリー。秦は得意のスイムを全体の2位であがると、続くバイクでは後続選手の追い上げを最小限に抑えながら、最後のランもペースを維持。1時間19分5秒の3位でゴールした。2021年大会以来となるメダル獲得に、秦は「久しぶりに横浜で表彰台に上がれて嬉しい。スイムで先攻していい形を作れたし、強化してきたバイクでも手ごたえを感じた。すごく楽しかった」と、笑顔を見せた。
秦は東京2020パラリンピック（以下、東京2020大会）で6位に入賞。2021年11月に、長年ランの際に痛みを感じていた義足側の右脚の手術を行い、昨年3月に約1年半ぶりに競技復帰した。痛みがなくなり、今年は3月の開幕戦で3位に入るなど好調さをうかがわせる。パラリンピックランキングでも5位につけ、本大会でも活躍が期待される秦は、「選考対象の残りのレースで手ごたえや課題を明確にしながら調整していきたい」と話し、「パリでは表彰台に、すごく立ちたい」と力強く語った。
出産を経て、本格復帰の谷が笑顔でゴール
今年本格復帰を果たし、バイクで力走する谷
東京2020大会代表の女子PTS4（運動機能障がい）の谷真海（サントリー）は、8人中5位に入った。東京2020大会後は第二子出産のため一時、競技から離れたが、今年に入ってから本格的に再開した。約2年半ぶりの復帰レースとなった3月の国際大会では9人中、6位で完走。今大会は今季3戦目で、自国開催ということもあり、沿道の家族や観客の大きな声援を受けながら笑顔でゴールした。「力を出し切れたことと、横浜に帰って来られたことが嬉しい。自分でも短時間でここまで来たことに驚いている。思い描いた通りのレースができたし、次へのステップになったと思う」と、振り返った。
この日のレースでは、バイクに乗る際はバイク用の義足を着けて走った。トランジションでのタイムをさらに短縮するため、ラン用の義足でバイクを漕ぐ想定もしているという谷。また、オリンピックに3度出場した庭田清美氏がサポートメンバーに加わり、豊富な経験に基づくアドバイスを受け、心身を磨く新しいチャレンジに取り組んでいる。
パリ大会の出場については、「他にも下から上がって来る選手がいて、順位を上げるのは苦戦している」としながらも、「最後まで粘りたい」と話し、前を向いていた。
木村は2度のトラブルも前向き「切り替えていく」
木村はアクシデントに見舞われながらも完走した
男子PTWC（車いす）で昨年のチャンピオン・木村潤平（Challenge Active Foundation）は、スイムの途中でウエットスーツのトラブルで水の抵抗があるまま泳がざるを得なくなり、出遅れてしまう。想定していたレース展開が崩れ、ライバルたちと競るなかで、手で漕ぐハンドバイクを使用するバイクパートで落車するアクシデントにも見舞われた。まさかの受難で7位でフィニッシュとなった木村は、「今日は自分の日じゃなかった」と悔しがりつつも、「まだ大会はあるので、切り替えていく。パリに照準を合わせて、気持ちはしっかりと入っている」と、言葉に力を込めた。
9人がエントリーした同PTVI（視覚障がい）は、東京2020大会銅メダルの米岡聡（三井住友海上／寺澤光介ガイド）が7位に入った。この日のレースはバイクとランで粘り切れず、目標としていた6位にあと一歩、及ばなかった。パリ大会出場に向けては、「ランニングでうまくハマっていないところがあるので調整したい。そして、寺澤ガイドとのコミュニケーションをさらに磨いて1秒を削り出し、ポイントを稼げるようにしたい。ふたりでパリを目指したい」と語った。また、山田陽介（ジール／阿部有希ガイド）は9位だった。
同PTS5（運動機能障がい）で夏・冬二刀流のパラリンピアン、佐藤圭一（セールスフォース・ジャパン）は8位。東京2020大会の同PTS4（運動機能障がい）銀メダリストの宇田秀生（NTT東日本・NTT西日本）は途中棄権した。
（MA SPORTS）
