パラスポーツ最高峰を目指す姿を追いかける最前線レポート--Next Stage--企画・取材:MA SPORTS

<<一覧に戻る

2024年7月12日

ダイセル ブラインドサッカージャパンカップ2024 in大阪

世界ランキング3位の日本は準優勝

「ダイセル ブラインドサッカージャパンカップ2024 in大阪」が4日から4日間にわたり、大阪駅前のグランフロント大阪うめきた広場で行われた。世界ランキング3位の日本、同8位のモロッコ、同9位のメキシコ、同26位のマレーシアの4カ国が参加。総当たりの予選を2位で勝ち上がった日本は、決勝でモロッコにPK戦の末に敗れ、準優勝だった。

決勝で相手ディフェンスをかわし、攻めあがる川村

予選は1勝1敗1分の2位通過

日本は予選の初戦でマレーシアと対戦。主導権を握りながら、なかなかゴールを割れない展開が続いたが、試合終了間際にフェンス際の混戦からボールを受けたキャプテンの川村怜が左足でシュートを決め、白星発進とした。

東京2020パラリンピック銅メダルのモロッコとの試合は、互いにさまざまな戦略を実践するなか、終盤に相手エースのズハイール・スニスラに得点され、0-1で敗れた。メキシコ戦は、川村と17歳の平林太一のセットプレーなどから幾度と攻めあがるが、最後までゴールを割ることはできず引き分けに。

予選を1勝1敗1分で2位となった日本は、3戦全勝で首位通過のモロッコと決勝で再戦することになった。

決勝はPK戦にもつれこむ接戦に

準優勝の日本代表。収穫と課題をパリにつなげていく

その決勝の前半8分、日本は積極的に仕掛けに行った後藤将起が倒されてフリーキックのチャンスを得ると、川村がやや左に持ち出して左足で強烈なシュートを決めた。追加点を狙う日本は相手に休む間を与えずに攻め続けるが、ゴールネットは揺らせず。逆に前半終了の7秒前にモロッコに速攻を許し、同点に追いつかれた。

後半、モロッコのスニスラが途中出場を果たすと、ゲームの流れが変わり、押され気味の展開に。さらに残り3分で投入されたアプデラザック・ハッタブの破壊力のあるドリブルに手を焼き、日本は追加点を奪えなかった。そして迎えたPK戦は、最初の3人では決着がつかず、サドンデスに突入。日本は4人目の後藤が鮮やかに決め、モロッコも成功。そして、5人目の川村の右脚のキックは相手GKにセーブされたが、モロッコは落ち着いて決め、2-3で敗れた。チーム最年少ながら主軸として活躍した平林は、相手にマークされて無得点に終わり、「ふがいないプレーをしてしまった」と唇をかんだ。

日本とモロッコはそれぞれパリ2024パラリンピックの出場を決めており、1次リーグではともにB組に入り、第2戦で顔を合わせる。日本の中川英治監督は、「本番に向け、モロッコのフィジカルやシステムの配置を体感できたのは大きい」と振り返った。

パリの特設会場を想定した環境でプレー

大阪駅前の広場に設置された特設会場で試合を行った

今大会は競技場ではなく、大阪駅の目の前に位置するイベント空間に設置された特設会場で行われた。駅ビルや飲食店、噴水などに囲まれ、一日に15万人が行きかう市民の憩いの場だ。

アイマスクを着用する選手はピッチのなかでボールや足音、掛け声などの「音」を頼りに動くが、今回は店舗のスピーカー音や人々の往来の音が加わったなかでのプレーとなった。8月開幕のパリ2024大会でもブラインドフットボールはエッフェル塔のふもとの特設会場で実施される予定で、今大会はその雑踏の音や反響音に慣れる狙いもあった。

川村は「パリを想定した環境でプレーができてよかった。反響音に苦戦した面もあるが、パリの会場はスタンドが高く設置され、より緊張感があると思うので、今大会の課題を洗い出して本番につなげたい」と話し、前を向いた。また中川監督は「人々が行きかう場所で大会をし、多くの人に観てもらえた。日本にブラインドフットボールやパラスポーツが根付くきっかけになる大会になったと思う」と語り、競技のさらなる認知度向上に期待を寄せていた。

(MA SPORTS)