パラスポーツ最高峰を目指す姿を追いかける最前線レポート--Next Stage--企画・取材:MA SPORTS

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2025年1月23日

TOYOTA presents 第26回日本ボッチャ選手権大会

パラリンピック代表選手らが存在感を示す

ボッチャの日本一を争う「TOYOTA presents 第26回日本ボッチャ選手権大会」が1月18日から2日間にわたり、愛知県のスカイホール豊田で開かれた。東西ブロックの予選会を勝ち抜いた選手や前回大会で上位の成績をおさめたトップ選手、パリ2024パラリンピック競技大会(以下、パリ2024大会)の日本代表選手ら約70人がエントリーし、白熱した試合を繰り広げた。

男子BC2決勝で、前回王者の廣瀬に圧勝した杉村(右)

杉村が廣瀬にリベンジ成功、6度目V

男子BC2の決勝には、前回王者の廣瀬隆喜(西尾レントオール)とライバルの杉村英孝(TOKIOインカラミ)が進出。8-2で杉村が勝利し、2018年の第20回大会以来となる6度目の優勝を飾った。

ともに「火ノ玉JAPAN(ボッチャ日本代表の愛称)」のエースで、パリ2024大会にも出場した両選手の対決には、大きな注目が集まった。杉村の2点リードで迎えた第2エンド、廣瀬がスローイングラインから10m先のエンドラインの手前ぎりぎりにジャックボール(目標球)を投球。ジャックボール前に置かれたボールが壁となるなか、杉村はその隙間を縫うような見事なコントロールショットで3点を追加した。さらに、第3エンドも正確な投球でボールを押し込んで2点を奪取し、試合を決めた。

杉村は試合後、「廣瀬君のロングボールに対応する準備をしてきたし、自分のエンドにおいてはフォームを安定させることに取り組んできた。まだ納得のいく内容ではないけれど、やってきたことを試合のなかで出せたのは良かった。ようやく廣瀬君にリベンジできて嬉しい」と、笑顔を見せた。また、廣瀬も「今のベストを尽くすことはできた。修正ポイントもわかったので、チームに持ち帰ってまた挑戦していきたい」と話し、顔を上げた。

混戦の男子BC3は有田が連覇

男子BC3で優勝し、存在感を見せた有田

12人がエントリーした男子BC3決勝は、パリ2024大会代表の有田正行(電通デジタル)が終始安定した試合運びで高橋和樹(フォーバル)を4-1で下し、連覇を達成した。有田は「今までの日本選手権で一番緊張した」と苦笑いを浮かべつつも、「今までの自分にはないボールの構成や投球順をかなり意識して毎試合立てたことが結果につながったと思う」と振り返った。また、有田の練習パートナーでもある鵜川健介(サウスフィールドクルー)が3位決定戦で逆転勝利し、前回大会に続き3位に入った。有田は後輩の成長を喜ぶとともに「追われる者の立場は精神的にきついものがある。それでも勝って伝えられることが多くあると思うので、これからも彼らに伝えていけたら」と話した。

その鵜川はJ-STARプロジェクト4期生。同期でパリ2024大会に出場した女子BC3の一戸彩音(スタイル・エッジ)の活躍に刺激を受けたといい、「先を越されてしまったので早く追いつきたい。来年は僕も絶対に日本一になって、次のパラリンピックに出たい」と力強く語った。

また、男子BC1は中村拓海(大阪発達総合療育センター)が圧巻の強さを発揮し、4連覇を達成。男子BC4は、高田信之(サウスフィールドクルー)が決勝で江崎駿(トランコム)を5-3で破り、初優勝を果たした。

注目の女子BC1は遠藤が藤井に逆転勝利

女子BC1は遠藤が冷静な試合運びで勝利を果たした

女子BC1は4人がエントリー。総当たり戦の予選プールの結果、決勝は遠藤裕美(福島県ボッチャ協会)と藤井友里子(冨山ボッチャクラブ)のパリ2024大会代表同士の戦いに。第3エンドまで藤井が3-2とリードするが、遠藤が最終エンドで得意とするロングボールで試合を作り、3得点で逆転。5-3で勝利した。遠藤はパリから帰国後はあいさつ回りなどで多忙な日々を過ごしていたといい、「そのなかで体調を崩さずに、今までやってきたことを出し切れたのが勝利につながった」と、笑顔を見せた。

女子BC3は、前述の一戸が決勝で関根彩香(boccia club team AVANTI)に5-2で勝利しした。試合は第3エンド終了時点で3-2と一戸がリード。終盤、好投を続ける関根がジャックボールに最も近いナンバーワンを保持するなか、一戸はジャックボールを動かしてその後ろにある自分のボールに近づけることに成功。これが結果につながった。一戸はパリ2024大会7位入賞のプレッシャーを感じていたといい、「試合が終わって解放された瞬間、泣いてしまった」と振り返り、勝利を喜んだ。

女子BC2は、庵木菜名(ポルテ多摩)が決勝で前回大会優勝の蛯沢文子(NTTコムウェア)を5-0で下した。3人がエントリーした女子BC4は、予選プール全勝の岩井まゆみ(豊田市ボッチャ協会)と同1勝1敗の唐司あみ(CAC Holdings)が決勝で再戦。岩井が主導権を握り、7-1で勝利した。

(MA SPORTS)