パラスポーツ最高峰を目指す姿を追いかける最前線レポート--Next Stage--企画・取材:MA SPORTS

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2025年9月19日

ITTF World Para Future Tokyo 2025

2年ぶりの国際大会を東京で開催!

国際卓球連盟(ITTF)主催のパラ卓球の国際大会「ITTF World Para Future Tokyo 2025」が9月10日から3日間にわたり、東京都墨田区のひがしんアリーナで開催された。ITTF主催のオープントーナメントが日本で開かれるのは2年ぶりで、AIN(個人の中立選手)と16の国・地域から134人がエントリーした。

全5試合で落としたゲームは「1」と強さを見せた七野

進化する七野「自分のプレースタイル確立を目指す」

男子シングルスで存在感を示したのが、車いすクラス4-5の七野一輝(オカムラ)だ。グループリーグを全勝とし、決勝トーナメントも難なく勝ち上がると、決勝ではアスタン・アディオス(インドネシア)を3-0で下し、優勝を果たした。今年度のルール改正でクラス4と5が統合された。クラス4の七野にとってはより状態のよい相手とも戦うことになるが、フィジカルトレーニングに取り組みながら積極的に国際大会にエントリーして実戦経験を積み、競技用車いすとラケットも新しくして、自身のプレースタイル確立を目指してきた。今季はここまで6大会に出場して5大会で表彰台に上がっているものの優勝はなかっただけに、「最後まで勝ち切れてよかった」と、笑顔を見せていた。

立位クラス7の八木克勝(電通デジタル)も決勝に進み、ファン・インチュン(韓国)をストレートで破って頂点に立った。持ち味のフットワークを活かしてフォアに回り込んで攻撃し続け、リズムを作った。昨年のパリ2024パラリンピック競技大会(パリ2024大会)では5位。目指していたメダルに届かず、「今もまだ気持ちの切り替えができていない」としながらも結果につなげ、「日本のお客さんの前で良い内容で勝ててほっとした」と語った。

クラス11(知的障害)は、加藤耕也(あいおいニッセイ同和損保)が決勝に進出。世界ランキング2位で第1シードのキム・ギテ(韓国)を相手に粘りのプレーで1ゲームを奪うが届かず、1-3で敗れた。

友野が優勝「目の前の一戦に集中した」

友野は東京・パリに続き、3大会目のパラリンピック出場を狙う

女子シングルスの立位クラス8は、友野有理(タマディック)が決勝で藏下朝子(大分上野丘高)を3-0で下して優勝した。現在は世界ランキング2位につけているが、「他の選手もこれからもっと上げてくると思うので、慌てずにやるだけ」と話し、今大会も基本に立ち返って丁寧な卓球を心掛け、目の前の一戦に集中した。5位だったパリ2024大会以降はロビングを強化してきたという友野。「このクラスは下がって打つ選手も多いので対策したい。目標は次のパラリンピックでメダルを獲得すること」と、力強く語った。

立位クラス9-10は、三浦稟々(クラーク記念国際高)が頂点に立った。三浦はグループリーグを2位で通過。準決勝で第1シードのインドの選手を破って決勝に駒を進めると、その決勝ではグループリーグで1-3で敗れたラヴィ・ベイビー・サハナ(インド)をフルゲームの末に下し、見事リベンジを果たした。三浦は今年1月の健常の全日本大会にも出場するなど実績を積んでおり、今後のさらなるスケールアップに期待がかかる。

クラス11(知的障害)の決勝は、国際大会初出場の23歳・馬渡伊吹(八戸卓球アカデミー)がパリ2024大会金メダリストの和田なつき(内田洋行)を3-1で下し、初優勝を果たした。

白熱のダブルス決勝は岩渕・阿部組が制す

ゲームカウント3-1で中国ペアを破って優勝した岩渕・阿部組

男子ダブルス立位14-18は、岩渕幸洋(ベリサーブ)/阿部隼万(キンライサー)組が決勝に進出。中国ペアと対戦し11-8、12-10、6-11、11-6で競り勝った。終始、息の合ったコンビネーションで試合を優位に進め、最後は岩渕のスマッシュで試合を決めた。また、車いす8の決勝は、北川雄一朗(相生市役所)/中村亮太(日本オラクル)組が七野/齊藤元希(プランテック)組と対戦。北川/中村組が白熱のラリー戦を制してストレートで勝利し、優勝を飾った。

女子ダブルス立位14-20決勝は、藏下/三浦組が友野/リュー・シュー(中国)組をストレートで破って優勝。車いす10決勝は、宮﨑恵菜(Mihotaku)/ユン・ジユ(韓国)組が制した。

混合ダブルス立位17-20は、垣田斉明(サムティホールディングス)/三浦組が準決勝でパリ2024大会代表の岩渕/友野組をフルゲームの末に破り、決勝に進出。その決勝では中国ペアに敗れ、銀メダルだった。

(MA SPORTS)